出版社内容情報
【内容紹介】
本巻は『徒然草』の第111段から第182段までを扱う。そのうちの第137段「花はさかりに」は、美と無常について語気鋭く述べて『徒然草』の圧巻と称すべき部分である。この段や、酒の利害を人々の生活に即して具体的に語る第175段をもっともまとまった段とし、各章段は長短さまざまである。中には、単に一つの知識をそのまま書いたにすぎないものも少なくないが、それらの行間にも作者兼好の独自なものが見え隠れしよう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
29
第113段で年配者のあさましきことを挙げている。若者に混じってはしゃぐこと、さも有名人と親しいようなふりをすること、身分不相応に接待したがること。こういう俗物は私の身のまわりにもいる。なんともみっともないことだと思うのだが、本人には恥じる気色はまったくない。若者はだまされてはいけない。こういう人間には近づかないほうがよい。年配者に限らず人は分相応にふるまうべきであり、身分不相応は格好のわるいことなのだ。兼好の時代も、現代という時代にも同様な人物はおり、人間の本質というのはあまり変わっていないものだ。2017/12/26
Tonex
3
なるほどと思うような教訓を書いてある段であっても、解説に「当たり前のことを述べただけ」とか「思想的に特別新しいものを含んでいない」などと書いてあることがあり、それはそれでなるほどと思った。俗流人生論のレベルで『徒然草』を解釈してはいけないのだ。この本のように本格的で学問的な本を読むと、作家や素人が『徒然草』について自分の個人的感想を述べただけの文章などを読むのは全く時間の浪費に思えてくる。2014/11/16
chikuy
1
2014/10/31
放言者
0
兼好かわいい。2011/08/14
おおの
0
第170段、用事もないのに訪れるのは「よからぬ」と言っておいて、最後には「いとよし」とするこころがピンと来ませんでした。解説を読んで、「来たらうるさい、帰るとさうざうしい」この矛盾を思いやってこそ味わいのある話なのだと知りました。浅はかでした、解説はこういう時にありがたいです。2009/05/22