出版社内容情報
【内容紹介】
『徒然草』は、巻頭以来、徐々に形式・内容両面で多彩さをきわ立たせて行く。本巻が扱う第47段から第111段にはその感がますます深い。否定の論理を展開する段、微苦笑を誘われるユーモラスな段など硬軟諸段に兼好の筆は冴えまさり、読む者の心を柔軟にほぐす。中には、兼好自身の恋愛体験にねざすらしい美文(第104・105段)もあり、その王朝物語的な淡いほのかな雰囲気は、兼好の抒情的な一面を映し出しているはずである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
13
「蟻のごとくに集まりて、東西に急ぎ、南北に走る。高きあり、賤きあり。老いたるあり、若きあり。・・・生をむさぼり、利を求めて止む時なし。」(第74段)夢を目指したり、希望を持ったり、苦しんだり、悩んだり、我々は毎日を頑張って生きているつもりなのだが、人間の生き様というものを眺めてみれば蟻が右往左往しているが如し。でも人間は死ぬんだよ、むなしくならないか、と兼好は書く。自己とか人間というものを客観視することができれば、世の中はまったく別の景色で見えてくる。悩んだり、自暴自棄になったりする必要はないのだ。2017/09/29
Tonex
0
語釈や解説が詳しくて良い。『源氏物語』や『枕草子』など元ネタになった有名な古典も一通り読んでおきたくなる。2014/11/16
chikuy
0
2014/10/30
midorikawa-e
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本文とは関係ないですが、語釈、現代語訳、解説、と堪能できました。学者というのはすごいものだなと。2014/05/12
千日紅
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読んだ直後は、興味のない話が多いと思ったが、心に残った段を書き出してみると、結構ありました。 「第58段 心は縁にひかれて移るものなれば、閑(しづ)かならでは道は行じがたし」自分への警句として。 「第68段 筑紫に、なにがしの押領使(あふりやうし)」大根が主人公となっており楽しい。 「第75段 つれづれわぶる人は」文章の調子が良い。 「第78段 今様の事どもの珍しきを」と「第79段 何事も入りたたぬさましたる」人との付き合い方のヒントをくれた。 その他に、第83段から第85段までと第107段。2012/05/20