内容説明
平家が滅びはてて、世も平穏になるかと思われたが、京は激しい大地震の災害をうけた。捕虜となった平大納言時忠らは流刑に処せられ、また数々の武勲にもかかわらず、頼朝の嫌疑をうけた義経のもとへ刺客が向けられ、義経はこれを斬って行方をくらました。平家の残党は誅せられ、六代もついに斬られて平家の子孫は絶えた。建礼門院の大原での余生を語って、ここに『平家物語』全篇の幕はおろされる。
感想・レビュー
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NAO
56
義経の都落ち、維盛の嫡男六代の処遇。そして助け出された建礼門院のその後を伝える灌頂巻。『平家物語』なので義経のその後は描かれてはいないが、華々しい活躍をしたすぐ後に都を追われる義経の哀れさ。平家といい、義仲といい、義経といい、絶頂期のなんと短いことか。そして、最後を締めくくる灌頂巻の寂漠とした哀しさ。2017/09/29
O. M.
4
壇ノ浦の戦い後の苛烈な平家残党狩り。そして、最終巻「灌頂巻」では、建礼門院が平家滅亡をダイジェストに物語り、寂しく死んでいく。これしかないと思わせる、深い余韻を残した、素晴らしい結末だと思いました。2017/10/24