出版社内容情報
【内容紹介】
本書は、江戸時代後期の林家の儒者佐藤一斎の、42歳から80歳にかけての、前後40年にわたる思索の賜物と言われる「言志四録」のうち、その第1巻たる「言志録」をを上梓するものである。変革期に於ける人間の生き方に関する問題意識で貫ぬかれたこの語録集は、幕末から明治にかけて多くの人々に影響を与え、西郷隆盛も自己の座右の書としていたと言われており、今日なお修養の糧として、また処世の心得として得難き書である。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
46
佐久間象山が師事し、西郷隆盛も愛誦したという江戸後期の大儒 佐藤一斎の語録集。それにエレクトロニクスを専攻する一工学者の川上正光が現代語訳と注を加えたのが本書。川上氏自信が言志四録が好きで好きでたまらない感じが随所にほとばしっていて面白い。特に、解説として「付記」で引用されている言葉の出展は、漢籍あり仏典あり幕末志士の詩あり西洋の偉人伝ありと、その知識の縦横無尽なるに圧倒された。孫弟子にあたる勝海舟や坂本龍馬の思想の源流と思しき言葉もたくさん見つかり、たちまちポストイットだらけになってしまった。2014/04/07
かわうそ
35
「130 急迫はことを敗り、寧耐は事を成す。」 〔訳文〕何事も急いでは失敗する。落ち着いて忍耐強く好機の至るを待っていれば、目的を達することができる。」P162 「183事を処するに理有りと雖も、而も一点の己れを便するもの、挾みて其の内に在れば、則ち理に於て即ち一点の障碍を做して、理も亦暢びず。」 〔訳文〕事を処理するのに自分の方に道理があっても、そのなかに僅かでも自己の便益のためにするという私心が挾まれておるならば、これが道理上にも障碍となって、道理が通じなくなるものである。」 明治時代を作り上げた人物2022/10/13
金吾
25
○儒教の考え方がよくわかる一冊です。人としてのあるべき論が多いですが、人の評価の話と上にたつ者の心得はそうなのだろうなと感じます。2022/04/22
メタボン
20
☆☆☆★ 難しい言葉オンパレード。明治以前の若者の教養のレベルはとても高かったのだろうと推察。それでも訳文と解説があるため、少しは咀嚼できたと思う。学問のもととなるのは志。2015/10/05
Holy Boon
10
座右の書。 幕末の倒幕のエネルギーとなった思想である陽明学における江戸の代表的思想家の名著。 坂本龍馬・西郷隆盛・桂小五郎・勝海舟・吉田松陰などに多大な影響を与える。 順境にある時、逆境にある時、事を為そうと志す時、優しく、時には厳しく、魂を奮い立たせてくれる本。 この本で人生観変わりました。何十回読み返したか数え切れません。それでもまた紐解きたくなる作品。 日本人に生まれて良かったと再認識させてくれる本でもあります。 全4巻。