出版社内容情報
【内容紹介】
仏教の原典を求めたいという求道者の一心から、厳重な鎖国をしくチベットに、あらゆる困難にうちかって単身入国を果たした河口慧海師の旅行記。抜群の面白さをもっているだけでなく、チベットの風俗・習慣等についての的確な記述は、本書をチベット研究のための第一級の基本的文献としている。この第二巻では、チベット国境を越えた慧海が、厳重な警備の眼を避けながらチベット第二の都シカチェを経てラサに至るまでが述べられる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
greenman
5
この巻ではチベット西北部の旅からラサまでの行程を載せている。マルサルワ湖の透き通る美しさや、カン・リンボチェの神妙さに心打たれながらも、様々な困難に立ち向かう。自然に翻弄され、二度の強盗に会い、チベット人の不潔さを嫌悪しながらも仏法の真理にせまっていく。コメントに参考資料をおいて置きます。2010/01/06
夏野菜
4
沢木耕太郎、小田実、猿岩石…彼等の旅が僕たちの生活から地続きに感じられるのに対して、河口慧海の旅は僕たちの日常から完全に隔絶された場所にある。道無き道を進み、野獣や盗賊の恐怖と戦い、同宿した娘に見染められる。読経、托鉢で食い扶持を得て進んでいく。文明の利器はまったく登場しない。オデュッセイアか、ドラゴンクエストの世界。ようやくラサに到着。折り返しだ。2014/02/21
Shosei Imazeki
2
やはり面白い。 うっかり手に取り、うっかり読み終えてしまった。2017/07/08
wei xian tiang
2
一巻と三巻は既読、古本屋で二巻を見つけて間が繋がった。集落を離れては、街道で往き合う者皆強盗、宿もまた旅人の荷を平気で盗むを業とするという修羅の国ぶりに現代の日本人としては呆れるだろうが、我が国とて、旅人が連れ少なしと見れば機を伺い密かに叩き殺して衣物を奪うのが当たり前だった時代はそれほど昔のことではないのである。2016/02/26
ドウ
1
カイラス山付近(チベット南西部)から都ラサに至るまでの旅路を描く。山中の道なき処を歩いていた前巻とは異なり、公道(人畜が多く通って踏みかためられた道)を行くため、民衆の文化・風俗を日本人仏僧の立場から(参与)観察する描写が多い。瀕死の子供の手当てをする辺りは、こうして求道者・宗教者の「奇跡」が生み出されるのだな、という印象。2017/03/08