出版社内容情報
【内容紹介】
ニュートンから現代素粒子論まで、物理の世界はいかに創られてきたか。湯川博士は、若い人々のために随所で自分の学生時代の経験に触れながら、わかりやすい言葉で、物理学の発展の歴史を数多くの創造的天才たちの人間像にまで結びつけて述べている。本書は「すでに創られた物理学」の概説ではなく、これから「創りだす物理学」をめざして語られた、湯川物理の真髄を伝えるユニークで興味深く、しかも格調高い名講義の全録である。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CCC
11
文系力の高さに驚いた。難しいには難しいけれど、教養としての物理という感じがする。人物や思想、哲学等からの解釈が目立つ。2017/05/03
Z
9
内容難しかった。物理学の講義というより、質点とは空間とは力とはという、そもそも論を語る。物理の教科書など、分かりやすくすっきり纏まっているが、ニュートンの本など分かりやすく書いてない。力や空間など、何かというのを真面目に考えたためで、湯川秀樹は答えは出していないが、この本でそれについて考えている。物理学勉強したらもっと面白く読めたのにと自分に落胆。出直そう。2018/04/04
yutaro sata
8
湯川さんのものは何でも分かりたいんだけど、この本はさすがに難しいですね。
roughfractus02
5
大学院生向けの集中講義(1974.3.18-20)を収めた本書は、著者の学生時代に黎明期を迎えた素粒子論に始まる。著者は古今の物理学者たちの「創造の原点」から物理学の世界とその歴史にアプローチする。物理学者の研究態度を3タイプ(孤立型、対話型、集団型)に分類し、前2者を欧米、3番目を日本的特徴として区分する著者は、個々の思考実験も研究環境や経験に基づく点を強調する。その歴史も、座標化という日常の経験で、古典力学の質量のない点から量子論のスピンを経て、座標化不能な重力に至って場の導入が必要となると説明する。2022/03/10
ゆうき
5
物理の公式や細かな計算式などが苦手な文系の私でも楽しめた。もちろん、難しいこともたくさん書いてある。けれど、それを差し引いても、総体としての湯川式物理学という流れに乗せられてしまうのだ。学者や学問の削ぎ落とされた細部にまで慈しみの目を向けているところにとりわけ心を打たれた。完成された学問ではなく、創り出す学問として物理を語るその語り口はユーモラスで生き生きとして、まるで本当に湯川先生の講義を受けているような気分になった。何度でも読み返したい。2010/02/13