講談社現代新書
読む哲学事典

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  • サイズ 新書判/ページ数 260p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061498396
  • NDC分類 104
  • Cコード C0210

出版社内容情報

軽妙な文章で見せる、哲学的思考のパノラマ本質と時間、愛と暴力、ここと私……一流の哲学思考のエッセンスを「読む」事典!1人の哲学者がすべてを書いた。
項目を対にすることで、日常の言葉と哲学用語が織りなす概念のネットワークが見えてくる。軽妙な文章で味わう、本格的な哲学思考の神髄!

哲学事典を引く人が、「存在」とか「記憶」とかの意味をまったく知らない、などということは考えにくい。求められているのは日常では一見自明な言葉に哲学者が見出す亀裂であり、それを通して見えてくる思いがけない意味連関ではなかろうか?概念間の連関が重要なのだ。ゆえに、哲学事典は一貫した視点で、1人が全項目を書くべきなのだ。これは、すべてを網羅するという事ではない。多くの知識を蓄える事が問題ではない。問題は、越境的な精神の自由を確保する事なのである。本書では、諸概念の連関を強調するため、事項を単独で説明するのではなく、一対の概念に対して説明をした。読者は、関連する事項説明をたどることによって、梁と梁が大きなドームをなすイスラム建築のように、あるいはたがいに連関して図形を構成する夜の星空のように広がる、概念の天蓋が見渡せよう。我々は、少なくとも千年の持続に耐え得るような伝統の基礎を築きたいと考えたものである。そして、その主要な部分はある程度の持続に耐えるはずだ。その大部分は、すでに2千年以上の時間の試練に耐えて受け継がれたものだから。
さあ、哲学をはじめよう。

愛と暴力
アキレスと亀
一者と実在性/真理と悲劇
イロニーとユーモア
運と偶然
可能性と反実在論
共通感覚と感覚質
言語と意味/Sinn(意味)とBedeutung(指示)/実在論と反実在論
検証主義とプラグマティズム
ここと私/意識と想像的なもの/想像的な私と象徴的な私
自然とユートピア/美と判断力
自由と問題
正義と詩人
全体論と解釈/現象学と志向性/心的な用語(mental term)と命題的態度
疎外論と物象化論
存在と存在論/数と算術/性質と類似性/実体と普遍論争
知識と信念
超範疇と超越論的
ハゲとブス
美のイデアと芸術
弁証法と(再)定義/観念論とヘーゲルの弁証法――意図と欲望
保守主義と左翼
法と革命
本質と時間/時間様相――過去・現在・未来/期待と希望
メタ言語と主体性
歴史と伝統/ヘーゲルの歴史観/反時代的


田島 正樹[タジマ マサキ]
著・文・その他

内容説明

哲学事典を引く人が、「存在」とか「記憶」とかの意味をまったく知らない、などということは考えにくい。求められているのは日常では一見自明な言葉に哲学者が見出す亀裂であり、それを通して見えてくる思いがけない意味連関ではなかろうか?概念間の連関が重要なのだ。ゆえに、哲学事典は一貫した視点で、一人が全項目を書くべきなのだ。これは、すべてを網羅するという事ではない。多くの知識を蓄える事が問題ではない。問題は、越境的な精神の自由を確保する事なのである。本書では、諸概念の連関を強調するため、事項を単独で説明するのではなく、一対の概念に対して説明をした。

目次

愛と暴力
アキレスと亀
一者と実在性
イロニーとユーモア
運と偶然
可能性と反実在論
共通感覚と感覚質
言語と意味
検証主義とプラグマティズム
ここと私〔ほか〕

著者等紹介

田島正樹[タジママサキ]
1950年生まれ。東京大学教養学部フランス科を卒業し、同大学院博士課程(哲学専攻)修了。東北芸術工科大学教授。哲学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

13
哲学「辞典」ではない。まずそこに戸惑う。求めていたものと違う。「一人が全項目を書くべき」という著者の姿勢は凄いけれど、題名との乖離はどうすればいいのだろう。入門書とも違うので、理解できない部分がたくさんあった。読み物として楽しむには重いし・・・。2012/05/12

こにいせ

7
諸学問の横断的な知=哲学という認識に則って書かれた哲学事典。硬質で格調高い文章のくせに、突然クドカンに言及したりするぶれ幅に、著者の侮れなさを感じる。敷居は高いが、間口は広い本。某ビジネス本によれば、最近ビジネスパーソンの間で「哲学」が流行っているんだってさ。マイケル・サンデルみたいな大層難しいご本をお読みになられる方々でしたら、この「程度」の新書ならスラスラと読みこなせるんでしょうなあ。2010/08/11

編集兼発行人

4
古代哲学から現代思想まで射程に入れた様々な抽象概念に関する解説。愛感覚自然自由正義存在美主義時間言語等々といった主要な鍵語について三十弱で章立てして各々数頁ながら複雑な知恵の輪を解く際の如き眉間の縦皺を誘発する展開でもって詳述するという構成。随所に頻出する奇特な用語群を各章の橋渡しに使いながら思想的な微分と積分とを絶え間なく実施する必要に迫られる妙味。哲学的な誠意に基づき丁寧に伝達しようとすれば難解かつ無愛想になりがちな表現に対して自分なりに換骨奪胎しながら再表現を試みるための脳トレ的な問題集として参照。2014/11/01

Jiny

4
この本の主なターゲットは誰なのだろう。概念の連関という表現で例えば、「愛と暴力」など2つの概念を一対として説明をしている。このように2つの概念が30項目程度取り上げられているのだけど、哲学という分野で、どういう扱いなのか、なぜこれの概念を取り上げたのか、「事典」を名乗ったのか理解に苦しむ。初学者向けに基礎概念を取り上げているのだろうけれど、やや唐突な印象を受けるし、事典を名乗っている割には物足りないと感じる。新書だから仕方がない、これをとっかかりとして哲学に興味を…。やや雑な執筆、編集ではないだろうか。2012/04/17

の箱

3
10年前くらいに買って読んだ本だが当時よくわからなかった。で何年か後に大学でキリスト教を齧ってるときググってたら「ララビアータ」というサイト(この本の著者・田島正樹氏のブログ)に当たりヨブ記やらイエス関連の記事をうんうん唸りながら細々読んでいた。その後もいろんなジャンル(美学・哲学・政治)のを暇な時に読んだ。で久しぶりにこの本を手にとって読むと言ってることは同じであり理解できる(少なくとも読みとれる)。で最初の項「愛と暴力」の愛のとこで「理解は遅れてやってくる」とあり面白かった。10年遅れてきたのね2017/12/18

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