講談社現代新書
日本を滅ぼす教育論議

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  • サイズ 新書判/ページ数 237p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061498266
  • NDC分類 370.4
  • Cコード C0237

出版社内容情報

文部科学省課長が「失敗の本質」を分析

<日本の教育論の「論議の在り方」の欠陥を鋭く指摘し、豊かで生産的な教育論を期待する画期的な書物である。> 文化庁長官 河合隼雄

おそらくは、日本人の多くに共通する何らかの思考プロセスや、陥りがちな論理の陥穽のようなもの――が、日本における教育論議に「すれ違い」や「カラ回り」をもたらし、建設的な教育論議を妨げているのではないか、ということを、ずっと思い続けてきた。以下、これまで漠然と感じてきたそのような「違和感」や「おかしなこと」の背景や構造を、分析・整理しつつ述べていきたい。――<本書より>

「現状」が直視されていないのではないか?
ここで言う「ゆとり」とは、「1時間当たりに教える量」についてのものであり、要するに「学ぶべき内容」と「授業時数」の比率のことである。したがって、この意味での「ゆとり」を拡大するためには、「学ぶべき内容の削減」または「授業時数の増加」の、2つの方法がある。そこで教育行政当局は、その選択の良し悪しはさておき、「前者」の方を選び、いわゆる「教育内容の3割削減」を行った。しかし実は、これと並行して「授業時数」の方も、「完全土曜休業」や「総合的な学習の時間の導入」などのために、「約2割」が削減されたのである。したがって、両者の比率である「ゆとり」は、学年や教科によるバラつきはあるが、全体として「約1割」程度しか生じていないということになる。(中略)過去の日本の教育が「詰め込み」であり、そのために「落ちこぼし」が生じていたのだとしたら、その状況は、全体として約1割程度しか改善されておらず、その後に生じた学力低下の原因のひとつは、「ゆとりを追求したこと」ではなく、むしろ「ゆとりが実現されなかったこと」だったと思われる。――<本書より>

序章 「マネジメント」の失敗
第1章 「現状」の認識に関する論議の失敗
第2章 「原因」の究明に関する論議の失敗
第3章 「目標」の設定に関する論議の失敗
第4章 「手段」の開発に関する論議の失敗
第5章 「集団意思形成」に関する論議の失敗


岡本 薫[オカモト カオル]
著・文・その他

内容説明

おそらくは、日本人の多くに共通する何らかの思考プロセスや、陥りがちな論理の陥穽のようなもの―が、日本における教育論議に「すれ違い」や「カラ回り」をもたらし、建設的な教育論議を妨げているのではないか、ということを、ずっと思い続けてきた。以下、これまで漠然と感じてきたそのような「違和感」や「おかしなこと」の背景や構造を、分析・整理しつつ述べていきたい。

目次

序章 「マネジメント」の失敗
第1章 「現状」の認識に関する論議の失敗
第2章 「原因」の究明に関する論議の失敗
第3章 「目標」の設定に関する論議の失敗
第4章 「手段」の開発に関する論議の失敗
第5章 「集団意思形成」に関する論議の失敗

著者等紹介

岡本薫[オカモトカオル]
1955年、東京都生まれ。東京大学理学部卒業。OECD研究員、文化庁課長、文部科学省課長などを経て2006年1月より政策研究大学院大学教授。専門はコロロジー(地域地理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

16
日本人は精神論に傾いてしまい、建設的な議論ができない、教育におけるマネジメントの必要性、リスクマネジメントの欠如など、うなずける部分がいくつもあった。特にリスクマネジメントの欠如によって今回の原発事故が拡大した現実もあるわけで、自分を含む日本人は客観的に自らを見直す必要があると感じた。2012/09/15

るい

12
教育に対し、日頃の疑問に思ってきたことを、論理的に指摘してくれて、やはりそうかと思う部分が大きかった。しかし、これらの失敗の本質や課題となる部分を解決していくとなると、膨大な時間と労力を費やす必要があるだろう。教育は国家百年の計と言うが、日本の教育はどこへ向かうのだろうか。こういった声を吸い上げて、より建設的な議論と改革を求めたい。2017/12/12

sosking

11
2006年に出版された本でしたが、勉強になりました。『戦略』というものの中には、「何を目指すか」ということと、同時に「何を切り捨てるか」も含まれていなければならないや、「意識改革」は達成すべき「目標」であって、「手段」になり得ないなど、参考になる内容でした。2016/12/08

MAT-TUN

8
「心」の教育、など反対する理由はないが抽象的で、具体性にかける教育論議をめぐってなにか違和感を感じ続けていた。本書は教育論で陥りがちな非生産的な議論をするどく指摘する。あーあるある!!とニマニマしながら一気に読了。2011/12/16

くりのすけ

7
日本の教育論議の問題点がかなり幅広く的確に指摘されていて、教育行政の問題点が浮き彫りにされている。特に、著者は、日本の教育を考える視点において、マネジメントや戦略の観点が抜けて議論されており、それが問題だと指摘しているがその通りである。 日本の教育論を考える上では、参考になる一冊だ。2012/10/28

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