講談社現代新書<br> 武装解除―紛争屋が見た世界

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講談社現代新書
武装解除―紛争屋が見た世界

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  • サイズ 新書判/ページ数 245p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061497672
  • NDC分類 319.04
  • Cコード C0231

出版社内容情報

世界屈指の紛争解決請負人が圧倒的なリアリティで語る、憲法、自衛隊、平和を考えるための必読書。職業:「紛争屋」
職務内容:多国籍の軍人・警官を部下に従え、軍閥の間に立ち、あらゆる手段を駆使して武器を取り上げる。

紛争解決の究極の処方箋?――DDR
ハンマーがひとつ、ふたつと、古びたAK47オートマティック・ライフルに打ち下ろされる。やっと銃身が曲がり始めたところで、涙を拭い、また打ち下ろす。ハンマーを握るのは、歳の頃は18くらい。まだ顔にあどけなさが残る、同じ年恰好の少年たちで構成されるゲリラ小隊を率いてきた“隊長(コマンダー)”だ。(中略)何人の子供たち、婦女子に手をかけ、そして、何人の同朋、家族の死を見てきたのだろうか。長年使い慣れた武器に止めを刺すこの瞬間、この少年の頭によぎるのはどういう光景であろうか。通称DDR(Disarmament,Demobilization&Reintegration:武装解除、動員解除、社会再統合)の現場である。――<本書より>

机上の空論はもういらない 現場で考えた紛争屋の平和論!
●魑魅魍魎の日本のNGO業界
●政治家なんて恫喝させておけ
●紛争屋という危ない業界
●後方支援は人道支援ではない
●米国が醸し出す究極のダブル・スタンダード
●テロを封じ込める決定的解決法
●和解という暴力
●紛争解決の究極の処方箋?――DDR
●多国籍軍の体たらく
●戦争利権としての人道援助
●日本の血税で買ったトラックが大砲を牽引する
●改憲論者が護憲論者になるとき

序章 常に思い通りにならない半生
第1章 暫定政府県知事になる――東チモール
第2章 武装解除を指揮する――シエラレオネ
第3章 またまた武装解除を――アフガニスタン
第4章 介入の正義


伊勢崎 賢治[イセザキ ケンジ]
著・文・その他

内容説明

職業:「紛争屋」職務内容:多国籍の軍人・警官を部下に従え、軍閥の間に立ち、あらゆる手段を駆使して武器を取り上げる。机上の空論はもういらない。現場で考えた紛争屋の平和論。

目次

序章 常に思い通りにならない半生(歯車が狂いだしたのは大学卒業間近;アイデンティティはどこへ ほか)
第1章 暫定政府県知事になる―東チモール(紛争屋という危ない業界;国連PKOの世界へ ほか)
第2章 武装解除を指揮する―シエラレオネ(テロを封じ込める決定的解決法;シエラレオネ小史 ほか)
第3章 またまた武装解除を―アフガニスタン(無償援助と有償援助;闊歩する軍閥 ほか)
第4章 介入の正義(戦争利権としての人道援助;非民主的という理由で侵略される昨今 ほか)

著者等紹介

伊勢崎賢治[イセザキケンジ]
1957年、東京生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。インド留学中、スラム住民の居住権獲得運動に携わる。国際NGOに身を置きアフリカ各地で活動後、東チモール、シエラレオネ、アフガニスタンで紛争処理を指揮。立教大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mitei

296
こういう人が世の中にいるんだなと知った。東ティモールは今は独立して落ち着いてきた?かと思うが、当時はそんなに内戦状態だったのかと知った。2017/09/02

James Hayashi

30
早大建築学科卒、インドでソーシャルワーカー、NGOなど経験。現在は東京外語大で教授。大変な任務である。大抵こういった職業は単身赴任だと思っていたが、シエラレオネに家族と老母を連れて行っている。東ティモールやアフガニスタンにてDDRを行なっているが危険な目にあっていない事は運がいいとしか言いようがない。本作は04年であるが11年に瀬谷ルミ子氏による「職業は武装解除」も第3世界で活躍する日本人を見れる。2018/10/17

skunk_c

30
多くの「リアリスト」を名乗る人の本を読んできたが、この人はまさに本物のリアリストだ。現場体験がなければこれだけのことは書けない。自分の仲間や部下の命を失った者だからこそ、武装した実力の重要性が分かる訳で、遠く東京の永田町界隈であれこれいっている者への、あるいは眼となるべき日本の報道機関への、厳しい批判は、そうした体験に裏付けられていて説得力がある。そして一方、最後に書かれた憲法前文と9条は一言たりとも変えてはいけないという主張、まさにリアリストならではと言える。やや古い本だが多くの人に読まれるべき。2018/02/12

Kazuo

18
東チモール、シエラレオネ等で武装解除を実施した、日本では数少ない紛争実務家による著作。本書によって「裁きと和解は車輪の両輪」「武装解除とは力の均衡を崩すこと」など、一筋縄ではいかない地域紛争(戦争)の現実について理解することができる。「仕事柄、米軍の中将クラスと日常的なやりとり」がある著者は、「『お前の戦争に金だけは恵むから、俺の条件を飲め』という姿勢を貫くとき、金を出すものが一番強い」との結論に至る。最後に、日本政府へ対する著者の考え方と、日本国憲法とその有効性/非有効性への理解が述べられている。2016/11/06

koz

14
革命統一戦線RUFによる虐殺行為などで国民の10%が犠牲者となったシエラレオネ。米国を中心とした国際社会は和平案としてRUFの指導者サンコゥ氏を追及しないばかりか副大統領のポストを与え、全戦闘員の行為にも不問とするロメ合意を締結。「寛容」の精神ここに極まれり、ただし押し付けられた側の心は知らず。同様の東チモール、アフガン等で兵の武装解除を行うその現場の様子は、空論でなく現実的である。残党がいる中の平和維持コスト、民兵私軍同士との利害調整など。文民統制の立場から見た日本国内の神学論争の意見には納得である。2014/10/08

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