内容説明
ロボットも心は持てる―脳科学や哲学の最新理論をふまえつつ、機械、知性、道徳など現代人の課題に迫る思考実験。
目次
第0章 プロローグ―サラの話
第1章 チューリング・テストpart1―ゆるやかな行動主義
第2章 チューリング・テストpart2―意味なき会話
第3章 中国語の部屋
第4章 フレーム問題
第5章 コネクショニズムって何?
第6章 感情とクオリア
第7章 エピローグ―クオリアと善悪
著者等紹介
柴田正良[シバタマサヨシ]
1953年生まれ、大分県出身。1982年、名古屋大学大学院博士課程単位取得退学。中部大学国際関係学部助教授を経て、現在、金沢大学文学部助教授。専攻は現代哲学
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感想・レビュー
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Yuji
8
哲学サイドから人工知能を考察する。章のはじめに、星新一もどきのショートストーリーを配置するなど、読みやすさへのサービス精神も満載です。全体には、心って一体なに?という事にまつわる考察といえます。「中国語の部屋問題」ある部屋の中にいる英国人が、コードブックに沿って、受け取った中国語を理解できないまま、別の中国語を生成して、手渡す。(コンピュータとブログラムのアナロジー)「このように英国人は中国語を理解せずに機能している。機能にだけ着目すると間違いますよ」という強力な反論。いやあ面白いです!2015/09/05
だいご
7
非常に読みやすかった。章のはじめの物語がその後の話へと入りやすくしている。ロボットは心を、感情を持ち得るのか。その最大の障害は倫理観と関わるところ。この辺りは人によって曖昧で明確に、状況による動きを定義できない。改めて人間の脳は精巧に作られていると感じる。2019/11/29
鬼束
6
各章の初めに、著者によるわけのわからないSF小説が付されていて困惑2016/11/05
ken
5
「ロボットは心を持てるのか」この超難題に挑戦し「持てる」と結論するのが本書。その根拠は結構難解なので理解が追い付かないが、シンプルに言うと「人間の脳を物理的に再現できれば、(確実性は認められないにしても)そこに心があると“みなす”のが筋だよね」という論理らしい。そして、ロボットに人格を認めた時、そこからさらに多くの問題が派生する、と。「生死」「記憶」「同一性」「責任」「道徳」などなど。ロボットを人間と同じ地平に置いたとき、僕たちは「世界認識の改変」を余儀なくされる。「人格を持つロボット」は本当に必要か。2022/03/08
クライン
5
「心を持ったロボット」。この存在に古来どれほどの人間が思索、時間、労力をかけてきたか、どれほど憧れたことか。これからもそうだろう、でもそのために何を解決しなければならないか?を知るための書とも言える。でも本当の問題は、持つべき「心」とは何かを究明することでは。身も蓋もない言い方をすれば、「脳以外全部機械」という存在が最終形態になるかな、と。でも自分以外の人が皆、心を持ってるってホントに私は確信できるのかな?私が持ってる心はワタシが動かしてるのは確かなのかな?2013/04/11