内容説明
古代エリートの生活と哀歓。午前3時の起床、吉凶占いから夜の社交までの一日。激烈な出世競争、土地や富への欲望。恋の歓びと病気・怨霊への恐怖。豊富なエピソードでつづる王朝絵巻。
目次
第1章 その名は貴族
第2章 ワン・ピラミッド・クライマーの官僚たち
第3章 王朝エコノミック・アニマル
第4章 王朝の男と女
第5章 王朝人の心の中
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なにょう
13
図書館の放出品。読みやすかった。平安時代の実情を知るにあたって、うってつけの一冊である。★女性に出仕の道が開かれ、かなもじがうまれ、後宮で文学が花開いた。結婚は法律婚ではないので、永久保証ではなくて、女の末路は哀れだったかもしれないけど。★男性に生まれたら、出世争いに負けたり、遠くに流されたり、妻を捨てることもあったかしれないし、物の怪や方角にも気をつけながら、それでも栄耀栄華を求めずにはいられなかった。 2023/11/11
こぽぞう☆
12
ブックオフの100円の棚より。こういうテーマだとあまり内容が古くならないから、1994年刊行の本でも問題ないね。もっとも、時々現在と比較するとこが出てきて「企業戦士彼らは終身雇用で出世する、その妻は専業主婦」という前提なのがちょっと。王朝貴族については、歴史小説ばかり読んでると摂関、大臣、良くて納言クラスまでしか目がいかないけど、五位の官僚でも二千坪の土地に住んでたとか、驚く。政治が行われてたのだから、恋ばかりしていたのではないことは感じてたが、内容が具体的。2019/02/13
しょうゆ
8
平安時代の貴族というと雅で華やかなイメージが強いが、実際はそうでもないということがよくわかる。陰陽道に縛られた不便な生活をしながら、権力争いで心身をすり減らし、病気は加持祈祷で何とかし、政治や恋愛を占いの結果に頼る。特に貴族の女性たちは、自分の力ではどうにもならないやるせなさを抱えて生きていたんだろうと思うと切ない。清少納言や紫式部の晩年は、若かりし頃輝いていただけに辛いものがある。古文常識として面白く読めました。2018/07/23
おMP夫人
8
対象の読者層を絞りすぎているかな? という気がします。貴族を何かとサラリーマン世界に置き換え、現在のビジネスシーンに当てはめすぎていたり、やんわりと現代の政治批判をしていたりで、わかりやすいのですが、少し読み手の年代や性別を選ぶかもしれません。収入や住宅事情等、経済面の記述が多めです。終盤の文学作品や陰陽道に基づく禁忌などから、当時のメンタリティに踏み込む部分には意欲を感じました。お金の話と色恋沙汰ばかりの下世話な内容かもしれませんが、ある意味、人間味に満ち、貴族達の日常の暮らしぶりに触れられる本です。2012/06/21
ず〜みん
6
図書館の本で読破。王朝貴族の朝は早いと言うが何時まで起きるのか、一晩中会って朝から仕事で夜遅くなってまた妻のところに通うならいつ寝てたの?などの他愛ない疑問点がよく書かれている本。一日4時間勤務で、休みの申請も、物忌や方違えもするなら、案外プライベートも充実していたのね、という感想です。2012/09/20