内容説明
眠れぬ夜に「ゴルトベルク変奏曲」。謎をはらんだ「フーガの技法」。最高傑作「マタイ受難曲」…。平易と優美の時代に抗い、生と死の問題を見つめ続けた最後の音楽職人J・S・バッハ。人間を超え、神に向けられた彼の視線は、音楽をも「超える」。豊富な資料と自筆譜に加え、名盤・名曲案内まで備えた決定版バッハ入門。
目次
1 バッハに親しもう
2 盛衰する一族の中で
3 勤勉さと倹約と
4 バッハの生活
5 聖俗を越える視点
6 数と象徴
7 バッハ演奏はいかにあるべきか
8 バッハを知る20曲
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
59
☆5。バッハを知るための最初の1冊としてベストの内容。礒山雅さんだから難しい事をうじゃうじゃ書いてあるのかと思いきや、思いっきりハードルを下げています。と同時にハードルが上がっている所もあるので、初心者もある程度のヒトも十分に楽しめます。ポリフォニー(バッハ)とホモフォニー(モーツァルト、ベートーヴェン)の部分、ジャズとの相性の良さ、バッハの音楽におけるリズムの重要性、バッハ自身が自分のルーツはハンガリーと見なしていたこと、お金に細かい人だったこと、紙を節約するために余白に別の曲を書き込む、↓2020/02/01
蘭奢待
47
バッハ論。バッハ一族や、生活、作曲活動、名盤紹介と充実した内容。有名な数学的論考は「象徴」という言葉で表されている。非常に興味深く面白い。バッハはメロディーではなくリズムだという。ポリフォニー、ホモホニーの違いがよく理解できた。バッハ音楽の独特さはポリフォニーから来ている。時代がそうさせたとも言えるが作曲も天才ならば、演奏する方も天才だ。グールドの凄さを再認識。ジャズアレンジとの親和性の高さ。ジャック・ルーシェのプレイバッハを早速聴いたが素晴らしい。2019/02/09
チョコ
27
バッハに癒される自粛生活の中で、ジャズやポップスにも使用されてるバッハの事をもっと知りたいと思って購入。曲の構成や、その頃の時代背景、楽器などなど広範囲に、でも難しくなく教えてくれる本でした。同じ曲ばかり聴いていたので幅広げて聴いてみます。2020/05/22
Aminadab
25
「マタイ」「ヨハネ」やG・グールドは随分聴いているのだが、その先どの曲へ行くか迷って長らく書架にあった本書を手に取った。痛ましいかな著者は他界していたが(1946~2018)、結論を言えば○。バッハというのはいくらでも難しげに書ける主題だが、著者は極力易しく聞こえるように、しかし要点を落とさず書いている。要するにカンタータというのは法事の時にお坊さんが読むお経みたいなもので各々30分あれば聴ける。YouTubeでいろいろ試し聴きしたが、BWV106、211、6つのトリオ・ソナタあたりへ行ってみようか。2023/09/19
ボル
23
バッハ研究者が教えてくれる、バッハの魅力。聴き方。生い立ち。楽器。カンタータの意味。ポリフォニーな旋律。なぜ?なぜ?がとても解りやすい。博識でそっと教えてくれる。こんな本はなかなか巡り遇わない。と言っても過言じゃないほど少しバッハ通となれます。今日はどれを聴こうか?などと楽しみにさせてくれる。2020/06/13