内容説明
中国史は魅力的な大盗賊にみちている。人望だけで天下を盗んだ漢の高祖劉邦、大明帝国をつくった乞食坊主朱元璋など―。広大な中国の大地を駆けめぐり、知謀と腕力で金を、都を、天下を狙った男たちの物語。
目次
序章 「盗賊」とはどういうものか
1章 元祖盗賊皇帝―陳勝・劉邦
2章 玉座に登った乞食坊主―朱元璋
3章 人気は抜群われらの闖王―李自成
4章 十字架かついだ落第書生―洪秀全
終章 「盗賊」と現代中国
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
九月猫
21
お借りしたもの。 盗賊の基本的要件「一、官以外の・二、武装した・三、実力で要求を通そうとする・四、集団」。ちなみに正義・不正義(悪)は関係ない。国土が広く人間の数も多いので、何につけても良くも悪くもスケールが大きい。 難しい?と恐る恐る開いたけど、人や土地の名前もこんがらがることなく、文章も平易でユーモアもありとても読みやすかった。 国を興し王朝を建てる「盗賊」たちをヒーローとして持ち上げるでもなく、もちろん貶めることもなく、ドラマチックになっている史実・歴史から事実と思われることを紹介。面白かった。2024/02/05
もち
2
面白かったーです。盗賊といっても、天下をとってしまうくらいのレベルの集団の話。歴史はあんまり興味ないのだけど、登場する個々人の言動や性格を友達みたいにふだん使いな言葉で描写しながら歴史の話をするのでどんどん読めて楽しいし、読み終わるとそのお話が生き生きと頭に残っててとても良いです。 水滸伝の影響で実際の盗賊達の名乗りが変わったというのが結構ミーハーで面白い。2012/01/02
muny
1
闊達な筆さばき。西洋史の堀米さんを思い出した。著者は本当に文献を読むのが好きな人なのだと思った。毛沢東が西洋の共産主義でなく中国の伝統的な盗賊の流れを引くという論旨は全く同感。専制主義、閉じられたメンバーシップ。この体制が崩壊するためには再度「革命」が起こらなければならない。2022/01/24
ひろただでござる
1
大盗賊=支配者ということで中国史に興味があると面白い。完全版は読んでません。2004/12/21
すがし
1
広大な中国大陸には、なかなか中央集権的なシステムが貫徹されず、地方に比較的容易に独立勢力が割拠しえたという話。メインストリームから外れてしまった知識人が、こうした独立勢力に集まって反体制勢力をまとめあげていたというのがなんとも興味深い。高島先生の本はいつも平易で面白い。2011/04/23