講談社現代新書<br> 読書の方法 - 未知を読む

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講談社現代新書
読書の方法 - 未知を読む

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  • サイズ 新書判/ページ数 193p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061456334
  • NDC分類 019

出版社内容情報

【内容紹介】
一度さっと読んだが何とも意味がわからない。読みつ戻りつ、考え考え何度も読んでみる。ついに言わんとすることがわかる。登頂のよろこびに似た感激の一瞬である。読書におけるこの“発見”を、現代人はなぜ忘れてしまったのか。予備知識のある内容ばかりを読んでいては、いつまでも発見はない。どうすれば〈未知〉のことを読み解けるのか。今まで一様と考えられてきた読みを、既知で読むアルファー読みと未知を読むベーター読みに分け、悪文の効用、素読の再評価、耳で読む法など、豊富なヒントを提示しながら、豊かな読書生活への方策をさぐった。

“一挙に本丸から攻めよ”――泳ぐのはたいへんだからといって、いくら畳の上で稽古していても、いつまでも泳げるようにはならない。水に入るのがこわいから、砂場で泳ごうか、などと言っているのでは話にならない。どうせ一度は苦しい目にあわなくては泳げるようにならないのなら、ひと思いに、まるで泳げないのを承知で海の中へ突き落としてしまえ。何とか泳げるものだ。素読にはそういう読者への信頼感をもっている。それと同時に、へたにやさしいものを読ませたりしていると、いつまでたっても、四書五経のようなところへはたどりつけまい、という考えもある。アルファー読みからベーター読みへ切り換えて、などといっていては、本当の読みができるようになるまでにどれほどの時間がかかるか知れない。一挙に本丸から攻めよ。それが素読の思想である。――本書より

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

7
アルファー読みとベータ読みに分けて説明されています。今の読書法よりも昔のほうがじっくりと読んで理解していくということで読書の喜びを説いています。この中で特に印象に残ったのは英文解釈法の効用です。これこそが日本近代文化が生み出した大業績であるといわれまさに私もその通りと感じました。2014/04/04

サアベドラ

5
知っていること(=既知)について書かれた本は簡単に読めて楽しいが、そればかりやっていると人間馬鹿になる。だから自分の知らないこと(=未知)に関する本に挑戦するべきだ。未知を読むという行為は疲れるが、我慢して繰り返し読めばいずれ理解できるようになる。そのような訓練を続けることで、論理的思考を鍛えることができる。古典や外国語文献を一語ずつ丁寧に読み込むことも、大いに勉強になる。上記のような内容が平易な文章で書かれている本である。「既知と未知を意識化する」という発想は一見当然のようでなかなか気づきにくいのでは。2011/08/09

あじさい

4
30年以上前の作品。この時から「活字離れ」「易しい文章を求める傾向」等を著者は問題視している。今も識者の意見は変わらないような。読書には、既知を読む「α読み」と未知を読む「β読み」の2種類があって、著者は後者を強く奨励している。確かに「α読み」はラク。私も意識しないとαの方へ走ってしまう。αだけだと気分転換にはなるけれども、知識や思考力の強化にはつながり難い。読書の最上級の形は「漢文の素読」なんだろうなぁ。それはムリにしても、β読みを意識していくべきだと思った。作品自体は読み易い文章で構成されてマス。2015/08/06

Machida Hiroshi

3
著者は、既知の言葉ばかりですらすら読めるのを「アルファ読み」、古典など未知の言葉や概念が出てきて考え悩みながら読むの「ベータ読み」と名付け、「ベータ読み」をしないと読書から深い思索を出来るようにはならないぞ、と書いています。確かにその通りだと思います。未知の分野の本を読むとすらすらとは読めないし、途中でググって言葉の意味を調べたりしながら読むので凄く時間がかかりますが、脳の違う部分が刺激されるのを感じます。本書を読んで、改めて難しいと思うような未知の概念に満ちた本を読まねばと決意を新たにした次第です。 2016/02/17

Masataka Shindo

3
読書の方法には二つがあって、「既知を読む」読み方と「未知を読む」読み方がある。難読さをひたすらに排除した現代では、未知を読む読み方の意義が見直されるべきではないだろうか。読書の方法と目的を再認し、未知を知る努力の大切さを知れた本。2013/07/01

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