星海社新書
江戸しぐさの正体―教育をむしばむ偽りの伝統

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  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061385559
  • NDC分類 385.9
  • Cコード C0295

出版社内容情報

教育現場をも蝕む、偽りの伝統「江戸しぐさ」。その成立と展開の過程を、偽史・偽書の専門家が徹底的に検討し、白日の下にさらす。「江戸しぐさ」とは、現実逃避から生まれた架空の伝統である
本書は、「江戸しぐさ」を徹底的に検証したものだ。「江戸しぐさ」は、そのネーミングとは裏腹に、一九八〇年代に芝三光という反骨の知識人によって生み出されたものである。そのため、そこで述べられるマナーは、実際の江戸時代の風俗からかけ離れたものとなっている。芝の没後に繰り広げられた越川禮子を中心とする普及活動、桐山勝の助力による「NPO法人設立」を経て、現在では教育現場で道徳教育の教材として用いられるまでになってしまった。しかし、「江戸しぐさ」は偽史であり、オカルトであり、現実逃避の産物として生み出されたものである。我々は、偽りを子供たちに教えないためにも、「江戸しぐさ」の正体を見極めねばならないのだ。

原田 実[ハラダ ミノル]
著・文・その他

内容説明

虚偽を教材に道徳を説けるのか?偽史・偽書の専門家による初の「江戸しぐさ」検証本。

目次

はじめに 「江戸しぐさ」を読み解く三つの視点
第1章 「江戸しぐさ」を概観する
第2章 検証「江戸しぐさ」―パラレルワールドの中の「江戸」
第3章 「江戸しぐさ」の展開―越川禮子と桐山勝
第4章 「江戸しぐさ」の誕生―創始者・芝三光と反骨の生涯
第5章 オカルトとしての「江戸しぐさ」―偽史が教育をむしばむ
第6章 「江戸しぐさ」教育を弾劾する―歴史教育、そして歴史学の敗北
おわりに 「江戸しぐさ」は最後の歴史捏造ではない

著者等紹介

原田実[ハラダミノル]
歴史研究家。1961年生まれ、広島市出身。龍谷大学卒。八幡書店勤務、昭和薬科大学助手を経て帰郷、執筆活動に入る。元市民の古代研究会代表。と学会会員。ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)会員。日本でも数少ない偽史・偽書の専門家であり、偽書『東日流外三郡誌』事件に際しては、真書派から偽書派に転じ、以降徹底的な追及を行ったことで知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

78
自分の満足感のためか、理想のあり方を、歴史の捏造という方法で実現させてしまう人物は後をたたない。本書の論では、一種のマナーにすぎないと見えるものでさえ、そこに歴史の書き換えが秘められていることに慄然とする。科学的には「そんなバカな」とおもえるものを、信じる人がけっこう多いことには驚くしかない。知性あふれる人でさえひっかかるのだから、騙されないようにするには、徹底的な懐疑から出発するしかないだろう。科学者だからといって、奇術を見破れるかと言えば、そうはいかない。見破れるのはマジシャンなのであるから。2014/12/02

harass

62
興味があり探していたがちょうど図書館に入ったので早速借りる。80年台に一人の研究者が創作した『江戸しぐさ』という道徳が、マスコミに取り上げられついには2012年には文部科学省選定の教材になってしまっていた。この道徳?が実際の江戸時代の風俗などといかに違うかを証明していく。著者はオカルト、特に偽書の研究家で検証は非常に冷静だ。嘘と分かった事例についての例があり、個人的に驚いたのは、インディアン邪術士の下で修行してその体験を本にしたカルロス・カスタネダは、でっち上げだったそうだ。ニューエイジの代表格なのに……2016/09/08

Aby

59
擬似科学をぶった切る系の流れで読む.ツィッターで話題に上っていたので「江戸しぐさ」の存在は知っていた.特に注目したのは『第五章 オカルトとしての「江戸しぐさ」』『第6章 「江戸しぐさ」教育を弾劾する』.擬似科学でも言われていることだが,専門家は「よほどのことがないかぎり」非科学的対象を科学的に批判することはない.成果に繋がらないからだ.「江戸しぐさ」を事実として教育された子供が,入試の小論文で延々と書き綴ったら合格になるのか? 歴史学の研究者は,そろそろ学会を上げて批判すべきではないだろうか.2014/09/13

Norico

57
「江戸しぐさ」というものが、江戸時代から続く礼儀作法としてねつ造されていく過程と、広まり方を考察している本。江戸しぐさの提唱者の死後のある意味曲解というか伝説化してしまう流れなど、ある意味、宗教ができていくのと同じような感じなのではないかと思った。一度信じてしまうと、それに反することを聞いても理屈をつけて信じたことを強化する方向に進んでしまうのも。著者の方の論理構成や、江戸時代の考察などやや粗い部分もあるような気がしますが、冷静に物事を見て判断できる人でいるのは難しいなと感じました。2015/06/15

厩戸皇子そっくりおじさん・寺

55
以前から読みたかったがようやく読めた。しかも夢中で読んでしまった。今や教科書や社会人の研修(東京ディズニーシーの運営会社も!)にまで採用されている、江戸時代からの秘伝のマナー『江戸しぐさ』。しかしそれは実際の江戸では有り得ないマナーばかり。それを史料で証明し、芝三光なる人物が1980年代に創作した捏造の日本史であった事を調べ上げる。無茶苦茶面白い。著者は「と学会」のメンバーだが、と学会の著作でメンバーが見せる様な笑いや嘲笑(好きだけど)はここには無く、原田実は真剣に批判している。それがまた良い。2015/02/25

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