講談社文庫<br> 霊長類南へ

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講談社文庫
霊長類南へ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 255p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061360105
  • NDC分類 913.6

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

91
地球最終戦争を描いたSFですが、鳥肌が立ちました。死の恐怖が全編を貫き、終末のひと時を見ている気分になります。本当にそのような時が来たら、どうなるのかとぼんやり考えさせられます。ツツイさんの味は強烈に感じながらも、グロテスクな現実のようにじわじわくるものがありました。北朝鮮の脅威が報道されるからこそ、架空の物語として単純に受け入れることができないのだと思います。2018/03/14

J7(読メ低浮上中)

42
世界全面核戦争を前に、極限のパニックに追いやられた全人類の壮大なブラックドタバタ劇。この小説には一貫して格好よかったり勇敢で崇高な姿勢を見せる人間は一人も出てこない。一国の首相的地位の人間さえ清々しいほどに卑近な人間性を露呈してのたうつばかりである。そこが面白いところでもあり怖いと感じるところ。執筆当時60年〜70年代の世相を背景とした独特の終末感が反映された作品だと思うが世界核戦争でなくても巨大地震を始めとする極限の入り口は今も変わらずあり続ける。せめて本書が空想のままであってほしいと願う読後感である。2018/11/14

GaGa

42
やはり終末の味覚は辛口の方がいいなあ。現在は絶版なのか、すごく勿体無いと思う。この作品や「俗物図鑑」「48億の妄想」などは現代でも充分すぎるほどに通用する。もっともっと読まれるべきだ。人間が二人以上生きていれば社会というものがある。という「由比ヶ浜」での台詞は感銘。2010/11/02

saga

33
【再読】カタストロフという単語が脳内に響きながら、著者が描く人間のエゴと暴走を読み進めた。ジャズと酒と女とナンセンスが融合した長編で、これまでのショートショートの集大成とも言える作品。中国の有り得な(くもな)い偶発事件から始まる核戦争が、第X次世界大戦の様相を呈する中で、エアポケットのように核弾頭が着弾しない東京周辺にいた新聞記者・澱口に焦点を当てつつ進行する物語は、世紀末と言うに相応しい大混乱だ。21世紀に東日本大震災を経験した我々だが、現実にはSFと同じようなパニックにならずに済んだのは幸いだった。2016/11/14

501

23
中国から原子爆弾を搭載した長距離ロケットが発射されたのを契機に核保有国が原子爆弾を打ち合い短期間に全人類が滅ぶ。その一発目が軍内のくだらないいがみ合いから偶発的に始まったのに象徴するように、核戦争の渦中に剥き出しなる人間のナンセンスな本性が次々と展開される。終始ドタバタ劇で途中で飽きてもおかしくないが、著者らしい毒気の強いコミカルさと、あの手この手の展開で最後まで引き込まれる。2016/07/29

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