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内容説明
きつねをはじめとするケモノ、祖先や死んで間もない肉親の霊、最近では「宇宙意識体」のようなものまでが人にとり憑いたかに見えるツキモノが、精神医学の現場では確実に観察されます。憑かれた本人は、あたかもそれらに身体を占拠されたかのようになり、はたから見れば、本当にきつねや死んだ肉親になってしまうのです。しかし、なぜこんなことが起こるのでしょうか。そのとき、本人の心のなかはどうなっているのでしょうか。本書では「憑依」というきわめて不可思議な現象に最新の精神医学の立場からせまります。
目次
第1章 キツネが憑くとき
第2章 よみがえる死者
第3章 うしろの正面だあれ
第4章 ツキモノと精神医学
第5章 文化と憑依
第6章 キツネツキの記号
第7章 憑依と多重人格
第8章 変性意識と憑依
第9章 不思議の国のアリス
第10章 現代都市と憑依
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
魚京童!
12
なんだろうね。憑かれたことないし、憑いたことないからわからないけど、すげー真面目に書かれてた。別の人になるっていうのがよくわからないけど、そういうこともあるのかもしれない。はっきり言って、離れすぎてわからないんだよね。見たことないし、感じたことがない。そういう感覚があるんだよって言われてもあるのかもしれないけど、感じることができてない。だからあくまでもふーんでしかない。それ以上を言えない。分からないことに関して、疑似体験できればいいんだけど、グーグルはまだそこまで言っていない。もう少し頑張ってほしい。2019/10/21
中島直人
7
(図書館)きつねつきという現象を、日本の文化に基づく精神的な側面から解き明かす。オカルトものかと思ったが、すぐれて科学的な真面目な本だったら。面白く読めた。2021/08/07
Moeko Matsuda
6
1993年の本なので、内容としてはだいぶ古いはずなのだか、いや、これは面白い!実際私が住んでいた地域には「きつねつき」というのがあって、子ども心に怖いような心惹かれるような印象を持ってきたし、実際近くの国立大学の先生が調査をしていたような記憶がある。精神医学はれっきとした科学でありながら、病態の理解には文化的な考察が欠かせない。そしてその文化は、同じ国の中であっても、その時代ごとに目まぐるしく変わっていく。あれから25年。憑くものとしての「きつね」は、まだ生き残っているのかな?2019/07/25
kunugi
3
とてもちょうどいい時期にとてもちょうどいい本へ出会えた。嬉しい。精神医学の立場から憑きの病態・病理について考察する、ありふれていそうで実はあまり無い本。憑くもの・憑かれる人・診断する人に加えて「憑ける人」が揃わなければ憑きが成立しないかのように書いてある部分もあって気になったが、章のテーマに対する比喩を交えてのアプローチが上手くて最後まで飽きない。特に大胆かつ目新しかったのは、「自分憑き」という概念を提示したこと。個人主義の進んだこの時代、ついに憑く存在まで他者ではなくなりつつあるのか。うわあ。2010/10/21
χ
2
精神的に追いつめられるとなる、憑くものは霊など時代と共に変わる。人格が簡単に変わることに恐ろしさを感じる。不思議のアリスの世界観がLSDを摂取したときと同じだと言う話は面白い2013/12/04