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内容説明
臓器移植や遺伝子操作の実現は、人類に新たな可能性をつくり出したのと同時に、いったい人間の生命とは何なのか、どこからどこまでが自己なのか、本当の自己とはどこにあるのか等々の新しい問題をも生み出した。いうまでもなく、近代科学や科学技術は、その誕生の時からキリスト教の存在が深くかかわっている。本書では、理性と信仰の問題、科学的認識と宗教的認識の問題、科学とキリスト教の間の対立と矛盾の問題などを追究・解説しながら、現代科学の在り方を模索する。
目次
科学と宗教―キリスト教的世界観の役割
「宇宙という書物」―ガリレイの科学
「神の栄光のために」―ケプラーの天文学
中世の宇宙―コペルニクスへの道
ガリレイの『天文対話』1―科学古典としての意義
ガリレイの『天文対話』2―真理・学問・対話
詩人ミルトンの「天文対話」
ガリレイの宗教裁判―『聖書』と科学
フランシス・ベイコン―キリスト教的学問革新論
王立協会とロバート・フック
天上の和声―ケプラー、ニュートン、ミルトン
ケプラーの『夢』―SF月旅行物語
ニュートンとキリスト教
ニュートンと英詩
パスカルと「考える葦」
新世界の科学1―コトン・マーサー
新世界の科学2―ベンジャミン・フランクリン
プロテスタンティズムと近代科学
近代科学とキリスト教的概念枠
進化論の出現
テニスンと進化論
懐疑とその克服
宣教師・進化論生物学者J.T.ギュリック
W.S.クラークと内村鑑三
明治期の進化論
自然と人間のかかわり
科学技術のなかの現代人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆーちゃん
2
聖書が神の言葉を表すものであるのに対して、宇宙は神が創造した自然法則全てであった。この「第二の聖書」とも言うべき宇宙は唯一の神によって造られた、という信念の下に科学者たちが奔走したことが近代科学の発展に貢献したのだと感じた。2022/05/04
arcturus
1
科学の誕生・発展にはキリスト教的思考が不可欠だったことを指摘し、キリスト教と科学との関係について読者に再考を促す本、だと思う。筆者の渡辺さんのいう科学と技術が必ずしも「人類一家」の為にならなくなっているという主張には賛同できるものの、其処此処でキリスト教の──ひいては宗教の──意義が必要以上に強調されているように感じられ、憾みが残った。2008/07/29
桜子
0
再読。2011/12/03
せいや
0
科学者裏話。筆者はおそらく『科学者の持つ「全ての物事は科学的に説明できるはず」という信念は「世界は万能である神が作った」という信仰によって支えられているのだよ諸君。』てことが言いたいんだと思います。取り上げられている法則や定理は有名なものばかりなので、理科に接する機会が少ない方でも楽しめるのではないかと。熱心なキリスト教信者独特のあのノリ(全ては神の思し召しなのです!)が嫌いだと途中で放り投げたくなるかもしれませんが2011/05/13
ヨウジン
0
科学とキリスト教の密接な関係を指摘した内容です。近年のキリスト教原理主義者による科学の停滞というのは非常に幼稚な批判である事がよく分かると思う。2011/04/10