講談社文庫<br> 一絃の琴

  • ポイントキャンペーン

講談社文庫
一絃の琴

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 402p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061317789
  • NDC分類 913.6

出版社内容情報

【内容紹介】
5歳で漂白の旅絵師の弾く一絃琴に魅入られた土佐の上士の娘苗はその後の人生を琴に傾け尽す。師有伯への淡い恋心、不幸な結婚、土佐一絃琴の盛名を響かせた市橋塾、女弟子蘭子との確執。愛も憎しみも想いのすべてを一筋の糸に凝らした苗の生き方に、明治の女の矜恃と情念をみごと描出した直木賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まあちゃん

35
筆致の力量に舌を巻く。5歳にして一弦琴の哀れで孤独な音色に魅せられ涙を流す苗。実在の島田勝子がモデル。後半は一弦琴の人間国宝となった秋沢久寿栄がモデルである、苗の弟子蘭子の目線で語られる。苗が5歳で聞いた亀岡さんの演奏、娘盛りに師事した有伯の演奏。苗はそれらから、孤独、わびしさ、演奏自体の秀逸さを痛切に感じ取る鋭い感性を持っていた。琴へのひたむきな情熱に胸を激しく揺さぶられる。後半の苗と蘭子の精神戦はただならない。蘭子の精神性の欠落と晩年の没落。身分や時代は、皮肉に流れる。直木賞受賞。他の著書も読もう。2014/06/23

kaoru

25
対照的な表現で一絃琴の道を極めようとする二人の女性の物語。明治や戦中戦後と激動の時代に芸術と共に生きた女性が描かれています。また、どっしりと重い文章で書かれているため、感情の揺らぎが腹に響きます。2016/12/15

きのこ

25
第80回直木賞。一昨年に亡くなった著者の追悼読書2作目は直木賞受賞作。一絃琴に生涯を傾尽した苗とその女弟子蘭子の、明治女の矜持と情念を見事に描き切った秀作(と、裏表紙にありました)。言い得て妙。やはり宮尾氏の作品は読了までに時間がかかる。文字数もさることながら一文一文に驚くほどのエッセンスが込められてるから飛ばし読みができない、と言うかもったいなくて一字一句を読み込んでしまう。しばらく時間を空けて、次は「櫂」あたりを読んでみようか。2016/01/19

Willie the Wildcat

18
人間国宝「秋沢久寿栄」氏とその師がモデルとのこと。一絃琴を通した人間模様と人生観。経験(年齢)を経て心に響く、あるいは腹に落ちる。一方通行の想い、あるいは勘違い。失った時間は取り返しがつかないが、人間として学んだことも大きいはず。紋之助、そして「白龍」との再会が印象深い。”縁”。真摯な言動は裏切らない。疎遠ではあったが、師弟は心で繋がっていた気もする。『漁火』。読後、YouTubeで、”想い”をイメージしながら聞きました。2012/09/29

おさむ

16
80回直木賞受賞作。一絃琴の存在をこの本で初めて知りました。高知の女を書かせれば、宮尾さん日本一。地味な題材と思ったが、読み進むうちに、120年にわたる壮大な女の2代記に引きずり込まれます。宮尾さんの生い立ちをあとがきで知ると、さらに凄さが分かります。2013/12/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/534765
  • ご注意事項