講談社文庫<br> 海の向こうで戦争が始まる

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講談社文庫
海の向こうで戦争が始まる

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  • サイズ 文庫判/ページ数 186p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061316508
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

【内容紹介】
海辺で出会った水着の女は、僕にこう言った。あなたの目に町が映っているわ。その町はゴミに埋もれ、基地をもち、少年たちをたくましく育てる町、そして祭りに沸く町。夏の蜃気楼のような心象風景の裏に貼りつく酷薄の真実を、ゆたかな感性と詩情でとらえた力作。『限りなく透明に近いブルー』に続く作品。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

119
男女の会話を起点に描かれる海の向こうで始まる戦争。前作と全く異なる作風の非商業志向の寓話。改行なしの視点切替えと不穏なまでに粘度と清潔感のある文章は引き続き「読む」より「見る」に近い感覚で、拡大縮小、外面と内面、場所の往還は自由自在。視覚の受動性を能動性へ転換させていくアプローチはつくづく技巧派。日常の連続性に倦怠し祭りに沸く反面で潜在する戦争願望。急転直下で具現する場面のドライさは徹底的。彼にかかれば汚泥と性と暴力のカオスは浄化されカタルシスへ昇華される。人間の破壊衝動をよりダイナミックに具現した力作。2023/10/30

かみぶくろ

73
稀代のセンス系作家村上龍による想像の赴くまま、自由にイメージを走らせたような作品。とりとめのない夢みたいな物語だが、湧き上がるイメージは相変わらず鮮烈な暴力と死体と臭気。この夢想的で醜悪で美しい文章が紡ぎ出す白昼夢は、あまり考えずに身を委ねるのが一番良い楽しみ方だと思う。終わりなき日常への戦争招来によるテコ入れみたいな読みも可能だが、いまここを生きる日常性をさして否定する気にもなれない自分には、あまりリアリティを感じない観念だったりする。デカイ一発なんていらないから、緩やかに穏やかに死んでいければいい。2015/03/09

きさき

26
★★★★☆:龍の2作目。期待してなかっただけに、面白くてびっくり!もっと評価されてもいい作品だと思う。ザ・post-modern的なpassiveな若者が歴史を傍観する話。日常がつまんないが故に刺激が欲しい、からの、カオスな想像力。たくさんの登場人物のストーリーが絡み合うのが面白かった。2018/07/18

Fondsaule

25
★★★★☆ 美しい海岸の風景から、海をまたいだ町の喧騒の様子を見る。 水平線のかなたのかすかな黒い稜線にドラマが存在する。 「フィニー、あの町は夢なんだろうか」 「夢じゃないわよ、あなたの目に映っているのよ、あなたは見ているのよ、見ることは本当のことよ」 海の向こうで戦争がはじまる。2022/07/21

こうすけ

25
村上龍の第2作目。この頃は幻としてしか、戦争を描けなかったようだ。あとがきの、ブローティガンとの話が一番面白かった。でも、この次がコインロッカー・ベイビーズということを考えると、やっぱりすごい。2021/11/02

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