出版社内容情報
【内容紹介】
ここには、犯罪の出発から終結までの全てがある。昭和38年秋、福岡で起こった殺人事件の容疑者は、犯罪史上空前の捜査網をかいくぐり、詐欺と殺人を重ねつつ、広島――静岡――東京――千葉――福島――北海道と逃げ廻った。78日間の逃避行の末、熊本で10歳の少女に正体を見破られて逮捕され、刑場に消えた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
140
直木賞】凶悪犯で知能犯。殺人事件と詐欺事件を次々に。詐欺事件の方はなんとなく、カトリックという背景を利用していることが分かる。殺人事件の背景が「上」だけからだと分からない。推理小説としては十分に複雑。次の事件が何かの予測が立たない。誰が、何のために復讐するのかも。2014/07/01
背番号10@せばてん。
24
【1975_直木賞】読了日不明(1979年のはず)。榎津巌、怖い…。1979/08/15
風に吹かれて
7
確か裁判傍聴人と自身を称していた佐木さん。先日亡くなられた。。。詐欺と殺人を重ねる男の実態を、彼と関わりのあった人々の証言を積み重ねて浮かび上がらせる。冒頭の、嫁や近所に対する小言を呟いている老婆が自分の畑に死んでいる男を発見する場面で読み手の心を捕まえてしまう。人々の暮らしの匂いまで感じられるような現実感あふれる記述が次々とページをめくらせる。。。下巻へ。2015/12/06
shiaruvy
5
[S60.09.25 8刷] 娘が『フェッセンデンの宇宙』なら妻はこの改訂版読んでた。 悔しいのでポケミスばりの色になった上下分割版に突入。 今村昌平作品も観なくちゃ! 感想は下巻。2012/10/14
東森久利斗
2
緒方拳主演映画の記憶と残像。人智と理解を越えた得体の知れない不快さに身震いした覚えがある。ノイズを払い退け原作のエッセンスにフォーカスしたのが成功の秘訣だろう。映画が原作を凌駕した珍しい例。テレックスのように吐き出される無機質な活字の流れ、生々しい戦慄の内容とのギャップ、コントラストは、主人公の人間性そのもの。2019/12/19