出版社内容情報
【内容紹介】
黒田官兵衛生は主家からの難題――荒木村重を翻心させられれば織田信長に従う――を抱き、伊丹を訪ね、囚われる。一方信長は官兵衛生が裏切ったと錯覚、子松寿丸を殺せという。竹中半兵衛の真情は松寿を救うが、官兵衛生が牢を出た時は半兵衛、既に病死。牢を出でからの官兵衛は身も心も変る……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
71
どうやら司馬氏は弱小大名に過ぎなかった信長が天下統一目前まで強大になった理由と、あっけなく滅びた理由双方を信長の持つ原理に求めていらっしゃるようだ。獄中にある官兵衛をして「原理というものはそれが鮮明で鮮烈であればあるほど、他者を排除し、抹殺する作用がある」と看破させた場面がいい。歴史物語の楽しみは史実を知ることだけでなく、史実をもとに歴史が動いた背景を推理し、人間を知るというところにあるのだろう。さて、次は四巻。いよいよ最終巻だ。官兵衛はどう考え、どう生きる?2014/01/30
B-Beat
20
☆いよいよ風雲急を告げてきた。官兵衛の有岡城での1年間に及ぶ幽閉生活。黒田家の家紋に使われた藤の花。そして秀吉の「二兵衛」こと今ひとりの軍師竹中半兵衛の登場。信長の人質となっていた官兵衛の実子松寿丸(後の筑前五二万石の当主黒田長政)の行方。毛利氏の援軍を頼りに籠城策を決行する荒木村重と別木長治。攻める司令官秀吉と後ろに控える信長。その戦後処理に不安を感じる官兵衛。毛利を裏切る宇喜多直家に織田氏との決戦に憂慮する小早川隆景。毛利氏への忠誠を誓う清水宗治。役者が揃ってきたという感じ。最終巻へ。2013/12/14
烟々羅
17
昔から好きな類の小説、フィクションでは悪役をも裏表から描写して魅力的にすることで読者をひきつける。子供のころからあまり親しまなかった歴史長編小説ってのは、一部の悪役を「こんな思考をするやつもいる」とばっさり数行で切り捨てることで成り立つ。 いま、身近でつきあうと鬱屈の溜まる人間を思い浮かべ「いるいる、こんな奴」と思うことで読み進むようになり、人生経験の少ない子供のころに楽しめなかった理由かと思い返した。 官兵衛の悟り体験といい、なぜ書けるのかと思い調べてみる。本作をものしたとき著者52歳。納得2016/04/02
HIRO1970
6
☆☆2008/09/07
ShogoHirara
5
なんか官兵衛が捕まっている間に世の中すっかり変わってしまって(^^; これはホントに官兵衛が主人公なのだろうか???(^^)2014/02/17