感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
99
読み直しですがいつも新鮮な驚きに愉しんでいます。50年前の作品とは思えません。今の時代に読んでも違和感なく楽しめます。やはり星新一はある意味では天才であったということなのでしょう。何気ない日常からの不条理な結末へと行くものや未来世界を見通したようなものまで楽しめます。2024/06/30
しゅわ
38
勝手に星さん再読祭り第16弾。平和な日常に潜む小さな乱流の種をユーモラスに描いた短編12編を収録。どれもおもしろいけど、冒頭の「なんでもない」は特にお気に入り。考えれば考えるほど妄想が広がります。独特の雰囲気が余韻を残す「門のある家」も良いですね♪「条件」や「追及する男」の皮肉っぷりも健在です。個人的には「まわれ右」がおもしろい展開なのに、星さんならもっとキレイに落とせたのでは?と少し残念。自分ならどうオチをつくるか?あれこれ考えた思い出深い作品です。2015/02/04
MIKETOM
8
皆さんが書いている通り『門のある家』がダントツでいい。西家の落ち着いた上品さ、格調高さは読者の憧れを刺激し、主人公と共にその世界にしっくりと馴染んでいく。心地よい幸福感。星の文体がまた見事に調和してるし。不思議で魅力ある世界を描いたものだ。星作品の中でも一番に挙げる人がいるのも頷ける話。星は別のエッセイの中で、昔の武家社会は家の存続を最重要課題とし、血筋(遺伝子)の継続に関してはそれほど関心がなかったと書いていた。『門のある家』もその辺が発想の基かもしれない。他には表題作や『追及する男』など。2017/12/08
流石全次郎
5
読んだのは昭和54年第12刷版の講談社文庫。高校生の頃大人になって再読するぞと段ボール箱に詰めた中に埋もれてた1冊の文庫本。全12作の短編集。「門のある家」はずっと記憶に残っていて記憶のままの物語で当時相当程度インパクトを受けた自分と再会できた。当時のSF物語も令和の現代では実現されてるなと感じた物語は個人的に2作品。巻末の権田萬治さんの解説も昭和50年代の時代を感じて楽しめました。高校生の時、定期のテストの結果を文庫本の解説風に書くとこうなる。と見せあって笑い転げてた当時も思い出しました。2024/04/09
コノヒト
4
昭和49年刊行。『命の恩人』『条件』『追究する男』あたりを読めば、我欲と幸運と両方いっぺんに手にしたいと考えるのは虫のいい話だと、わかっちゃいるけど人間は、いや、敢えて私はどっちも求めてしまうもの。今回の私の一番は『すなおな性格』で、些細な出来事から始まって加速度的にどんどんエスカレートしてゆく類の話が好きだ。家に喰われちゃう系の話『門のある家』の恐ろしいこと。2016/08/03