出版社内容情報
【内容紹介】
地図とは未知の土地への探険行為の所産であり、いわば人間の歴史、人間に共通の言語でもある。ワクワクあるいはジパング──それは、異国にあってやはり世界踏破をめざした人びとが、憧憬の念をこめて名づけた東洋の島、日本の呼称である。西洋の地図に日本はどのように登場していったか。また日本人は、この列島の姿をどう認識していたか。本書は、遠く大化改新からの田図にはじまり、鎖国下の江戸に花開いたわが国の地図文化の跡を辿りながらそこに生きた人間のありようと、その息吹を伝える好著である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
「近世初頭、キリスト教宣教師の説く地球球体説に対して、江戸幕府の儒官林羅山は京都南蛮寺でイエズス会日本人イルマン不干済ハビアンと問答をかわして、慶長十年に『排耶蘇』なる一文を草している。そのなかで羅山は、「物みな上下あるの理を知らず、彼れ地中を以て下となし、地形を円かなりとす。その惑ひあに悲しからずや。朱子のいはゆる天半地下を繞る。彼れこれを知らず」と反論している。羅山は…朱子の言をまもって、地球球体説をきびしく否定した…また仏教徒においては…須弥山説によって…中世のいわゆる天竺図が仏教系世界図である」2018/05/10
TCD NOK
4
先に読んだ世界編に比べれば、年貢の納入のため、鎖国時代下の国内旅行のため、そして明治の軍事のためとその時代時代での必要性が書かれ、退屈せずに読めた。伊能忠敬の作成した大日本沿海輿地図は、あまりにも正確すぎて幕府の最高機密となってしまい、一般庶民の目に触れることはなかったのが皮肉だった。2019/02/13
わ!
1
復刻版日本の古地図のコレクターなので、日本版だけを読みました。まさに地図のプロともいえる先生の本で、行基図から伊能図まで一通りの地図に関して述べられている。ただやはり、あの暗号のような行基図に関して、しだいに解き明かされていくのが楽しい。手元に復刻版の行基図を置いて、ドキドキしながら読んだりもした。2016/04/19
wukann(かの〜)
1
現代、我々はGoogleMapを使えば日本中・世界中の地形や道順、果てはStreetViewまで簡単に確認できるが、歴史を紐解けばこのような地図がどのように、また何のために作られ、発展したのか。興味深い。伊能忠敬や間宮林蔵による測量まで不確かであった北海道の地形の移り変わりがまた面白い。ちっちゃい島だったり、横長の広大な大地だったり…2012/10/19