出版社内容情報
【内容紹介】
すぐれた論文・レポートは文章技術の修練だけでは生まれない。目のつけどころや発想法、材料のあつめ方や整理術、さらには構成力や説得術が必須の条件となる。本書は、こうした一連の知的作業の技術やコツを、すぐ役立つように、著者自身の貴重なノウハウを惜しみなく公開して微に入り細を穿って教えてくれる、具体的で楽しいアイディアを満載した現代人必読の知的実用の書である。
カードとりのコツ――何をやるかによっても、また関心のありかたによってもカードに記入する方法はちがってくるだろうが、最大公約数として、見出し・本文・出所はどういう場合にも欠かせないものだ。見出しは、型把握の方法を適用すればよい。要するに、カードに書かれた内容が一目でわかるようなアダ名をつければよいわけである。ふつう、簡潔な見出しをつける場合、われわれは漢語をつかって名詞や名詞どめの句を使いやすいが、あとで使うときのことを考えると動詞を使って短い文にしておいた方が能率があがるものである。カードの本文は、かならず逆ピラミッド型にしなければならない。必要なカードを探すとき、見出しと本文の上の方だけ見て探すのが能率的なのである。――本書から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
100
◆頭は筋肉同様、使わないと退化。専門以外では、頭はまんべんなく使う。◆頭への刺激①目に入ってくるもの全てを口に出して言う→瞬間的判断力強化/②なんでも良いから記憶してみる→老化防止◆自分の視点が固定されると専門バカに陥り易い。①多視点法:少数派意見の立場で考える。②タブーの意識:いつも、みんな等の言葉は禁句。◆読書:読まずに切り捨てるか。ブレーン・ストーミング読書:大量の雑誌を広告ページも含めてどんどん読む→新しいアイデアや見方が閃く◆相手が納得する文章①共感を得る、②敬服させる、③自分のリズムに乗せる2020/03/29
momogaga
45
読メ開始以前の既読本。知の楽しみかたも教えてくれた名著です。これからもせっせと雑学の知識も貯めていきます。
つきかげ🌙
33
およそ半世紀前に書かれた本書。考える方法、文具の選び方、色別カードを使った文章のストック。書き方のテクニック。現代の視点から見るといただけない表現が多かったり、引用文献が古すぎて参照できなかったりと色々困った点もあるが、一番困ったのが手書きのカードを使っている点。今時分はほとんどの文章をキーボードで打っているため整理術がそのまま生かせない。そこを「考える」のがトレーニングなのだろう。本書の読後、くらくらした感じがしている。時間を置いて読み返したい。2019/01/11
SOHSA
32
《購入本》書かれている内容は、今となってはほとんど知っているものばかり。しかし、その真髄はぴくりとも揺らがない。驚くべきは本書が1973年に刊行されたということ。既に40年以上も前だ。まだパソコンもスマホもない時代、情報処理と思考法、文章の作成法などどれをとってもそのエッセンス、肝は現代とほとんど変わらない。私たちはこの40年間一体何をしていたのか、改めて自分を問い質してみたい。本書は、梅棹忠夫『知的生産の技術』にも並ぶ良書だと思う。2015/09/24
KAKAPO
27
第一刷は1973年、私が持っている第65冊!?は2005年とのことなので、最新版でも改定を受けていないだろう。当然のことながら、思考を整理するために使用しているというカード・システムや文具は、時代を感じさせるものであるが、それを使って定着させた思想は、全く色あせないどころか、現代の思想のルーツになっているものである。そして、不自由な道具を使って目的を達成するために粘り強く思索する姿勢は、現代社会に生き、成果を求められることに苦悩し、生産性を上げる事だけに意識を集中させている私たちこそ学ぶべきものである。2020/07/15