講談社現代新書<br> 「無」の思想 - 老荘思想の系譜

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講談社現代新書
「無」の思想 - 老荘思想の系譜

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  • サイズ 新書判/ページ数 216p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061156074
  • NDC分類 124.2
  • Cコード C0210

出版社内容情報

【内容紹介】
無とは何か、死とは何か。真理は言葉によってとらえうるのか。これらの根本命題を課せられた人間を思うとき、われわれは、無を拠点とする東洋思想から、あまりに遠く隔たりすぎたのではないか。本書は、言葉を超えた真理を追究し、自然に帰れと説く老荘の哲学を核に、東洋自然思想の系譜を、禅から親鸞、宣長、芭蕉へとあとづける。西洋合理思想になれ親しんだ現代人にとって、東洋的虚無の立場から存在の本質に迫る必読の書。

人間の言葉は、ありのままの真理をあらわすに不適当である。そこに荘子の「弁ずるは黙するにしかず」という主張も生まれる。それでは沈黙を守ることだけが、真理を伝える唯一の道なのであろうか。沈黙は言葉に対立するものである。たがいに対立するものは同じ次元の上にあることになる。言葉が真理を伝えることができないとすれば、沈黙もまた真理を伝えることができない。とすれば「非言非黙」のみが、残された唯一の道である。それでは非言非黙とは、具体的にどうすることであるか。それは言葉を用いながらも、言葉にとらわれないことである。禅宗風にいえば、言葉は月をさす指であり、月のありかがわかれば、邪魔になる指は切りすてるがよい。――本書・不立文字の思想より

読売新聞書評より(本書掲載)
本書はインド的なものとの出会いによる複雑な展開を充分に腹にすえながら、中国的な無の思想〈老荘思想〉の大本を明確にし、かつその思想の変容のあとを概説した。著者は中国思想の専門家、ことに道家思想の造詣において定評がある。その専門的知識を駆使して、老荘思想の展開に新指標を打ち立てた野心作である。仏教の空思想を知る上で、中国的無の思想の実態を心得ておくことは大切である。本書はそのような要望にも格好の手引き書となる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kawa

29
永年の書棚放置本。「無」の思想と言うより、老荘の無為自然、有為自然の「自然」に関する論述。なかなか難解で苦戦したが、禅宗の「不立文字」以下の教えが、老荘の中国的思想の影響が強いこと、親鸞の浄土思想も荘子の無為自然に近いという記述はヒントになる。2019/02/20

バナナフィッシュ。

7
黙るのでも、しゃべるのでもない境地。自然に帰るという不自然。昔から生き方の理想、こうでありたいと思うところはあったんだな。当たり前か。2016/04/29

galoisbaobab

5
時代によって移り変わっていく老荘の「自然」概念、老荘と互いに影響し合った儒、禅、浄土との関係を孔子、道元、親鸞、本居宣長、荻生徂徠、松尾芭蕉の思想を考察しながら外観できる良書だと思いますな。2015/01/06

まえぞう

4
もう50年近くも前の本ですが、老荘をベースに、無の思想が、自然とは何かという観点から分かりやすく述べられています。欧米では、自然とは征服、管理すべき主体として議論されることが多いですが、アジアの、自然と一体となる、あるいは自然に帰るという考え方はどこから生まれるのでしょうか。何度も読んだ本ですが、いつ読んでもためになります。2017/08/13

ヒラマサ

3
中国古典学という授業で荘子を読むことになっているのですが、担当の先生に軽い気持ちでおススメの本を尋ねて貸してもらいました。面白かったし、(多分)東洋的な思想の入門として丁度良かったです。やや古い本ですが、バックグラウンドがなくても読めます。 「自然」とか「無」とか、考えなくてもそれはそれで生きていけるんでしょうが、最近つらいことがあったのですが、僕はこの本を読んでとても救われました。なるほど、人は哲学と宗教に救われるんだな、と。 2019/05/14

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