学研M文庫
都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト

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  • サイズ 文庫判/ページ数 373p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784059040019
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

希代の文人・澁澤龍彦が遺した最後のエッセイ集。手術後に見た奇怪な幻覚をつづる表題作をはじめ、死の予感と耽美が交錯する鮮烈な残像がここにある。単行本刊行時には漏れた絶筆原稿2編を追加収録して、待望の文庫化!(あとがき=澁澤龍子)   

内容説明

1987年夏、不世出の文人・渋沢龍彦は、咽頭癌により、惜しまれつつも永遠に帰らぬ人となった。表題だけが定められた一冊のエッセイ集の刊行を約したまま―。少女、鉱物、交友、幻想、書物…。晩年のエッセイをもとに編まれたまさしく最後の著作には、鬼才が偏愛した世界が珠玉のごとく散りばめられている。初版刊行時には漏れた絶筆原稿2編を特別収録して、待望の文庫化。

目次

都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト
穴ノアル肉体ノコト
随筆家失格
私の著作展
校正について
ポンカリ
少女と奇蹟
ホモセクシュアルについて
妄譚
ホラーの夏お化けの夏〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぐうぐう

17
幻想文学新人賞の選考において「幻想文学にはもっと幾何学的精神が必要だ」と説いた澁澤は、幻想的なものを好みながらも、その世界を盲目的に信じることはせず、とても冷静な目で眺めていたゆえ、実生活において幻覚を見るようなことはなかった。そんな澁澤が死の前年、幻覚を体験する。しかしその幻覚は、投与された薬物によるものだったことが、とてもとても象徴的だ。澁澤は病床においてまで、自らのスタンスを貫き通しているのだ。にしても、その幻覚を嬉々と記しているところも、いかにも澁澤らしくていい。2009/07/27

Nekono

10
気がつけばいつの間にかパイプを吸うようになっている。昔、澁澤さんの本はどれも珍奇で観たことのない事象や書物に溢れていた。あれから幾星霜、今、この本を開けば馴染んだ光景や読んだことのある書物が増えている。そして、あらためて、澁澤さんの言葉の選び方や事物への愛、表現の仕方を味わっている。やっと、少しは澁澤さんと対話しながら読めるようになった。そのことが嬉しく、また、少し寂しい。この本は澁澤さん最後のエッセイ集。2015/05/09

Roy

9
★★★★☆ 澁澤龍彦の病床でのこと、日々のこと、好きな本のこと、絵画のこと、街のこと、亡くなった文人たちのこと。その後の彼の死という結果を知っているだけに切ない。2008/11/29

ホークス

6
文学の話など、正直よくわからない所も多いが、読んでいると、この世と少しだけズレた別世界をさまよっている気分になる。澁澤龍彦の本はいつもこんな感じで、他にない読書の楽しみを与えてくれる。若い頃は、この感じがわからず、退屈に思えた。何だこりゃと思っていた印象派の絵が、段々美しく見えてきた様に。歳をとって良かった事のひとつ。2014/06/12

rinakko

5
手をつけられずにいた最後のエッセイ集を、少しずつ少しずつ…でやっと読んだ。そして後を引いている。2013/12/25

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