出版社内容情報
邪神族と人類の壮絶な戦いを描く<クトゥルー神話体系>は、偉大なる創造主ラヴクラフトの死後も、世界中の作家達により今なお書き継がれている。ホラー、ミステリー、SF、映画界の精鋭達が腕を競う、日本初の日本人作家によるクトゥルー神話作品集!
内容説明
邪神族と人類の壮絶な戦いを描く“クトゥルー神話体系”は、偉大なる創造主ラヴクラフトの死後も、世界中の作家達により今なお書き継がれている。本書は、ホラー、ミステリー、SF、映画界の精鋭たちが腕を競う、史上初の日本人作家によるクトゥルー神話作品集である。巻末に、菊地秀行・佐野史郎のクトゥルー神話対談を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
59
6人の日本人作家によるクトゥルー神話アンソロジー。かつてクトゥルーと知らずにドラマ版を観て強烈な印象を残した「蔭洲升を覆う影」のノベライズを始め、各作家さんの個性溢れる短篇は6編共に文句なく面白かった。特に菊地秀行氏の「出ずるもの」は、たった13頁の中に、人類の破滅を予想しうる恐怖が、厳寒の地を舞台に壮絶な迫力と不気味さを持って描かれていた。素晴らしいの一言に尽きる。また、巻末の菊池秀行氏と佐野史郎氏のラヴクラフトについての対談も楽しめました。2016/09/12
まえすとろ
23
1994年、学研ホラーノベルズから刊行された日本人作家による初のクトゥルー神話小説アンソロジー『クトゥルー怪異録』の文庫版。1992年にTBSスペシャルドラマ『インスマスを覆う影』の脚本を担当した小中千昭による同ドラマのノベライズをはじめ、同作主演の俳優であり怪奇小説マニアでもある佐野史郎の処女作『曇天の穴』、高木彬光、山田正記、菊池秀行といったビッグネームによる短編が収録されるというクトゥルー神話、怪奇小説ファンにとっては非常に贅沢な一冊。怪異神話譚の日本版としても貴重であり、是非再版を求めて止まない。2013/02/04
CCC
13
クトゥルフ神話はやや読みにくい印象があるが、このアンソロはとても読みやすかった。インスマスをこれでもかとばかりに日本風にした『蔭洲升を覆う影』。しっかりとしたミステリーだった『邪教の神』。シリーズものにもできそうな世界観の『銀の弾丸』など、どれも面白くはあった。ただ全体的にコズミックホラー色は薄めだったように思う。『曇天の穴』と『出づるもの』は正統派に思えたが、他はクトゥルフ以外の要素が勝っていると感じた。2021/06/22
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
8
**ネタバレ**巻末に収録されている菊地秀行と佐野史郎の対談"ラヴクラフトに魅せられて"も大変面白いですが、何と言っても一押しは、ドラマ『蔭洲升を覆う影』のノベル版(ああっ当時見てみたかった。最もその時は小学生ですが・・・)クトゥルーファンには説明不要、H・P・ラヴクラフトの代表作の一つである『インスマウスの影』の舞台を日本に置き換えた作品。原作に見られる"内的な恐怖"を日本特有の見捨てられた故郷に準えている。上手いアレンジだな、と素直に感心しました。日本の風土はクトゥルーに良く馴染むと思わされた良書。2012/04/21
オブ犬
4
日本人作家によるクトゥルー神話物語のアンソロジー。 本場アメリカの、特に本家ラブクラフトの作品より圧倒的に読みやすくて、それでいて雰囲気はあってイイね。 「インスマスを覆う影」を日本を舞台に変えた「蔭洲升を覆う影」は一捻りを加えていて良かったし、菊地秀行先生の「出づるもの」は菊地先生らしくダイナミックな感じで良かった。2018/06/07