内容説明
執筆に行き詰まり、ロンドンで荒んだ生活を送るジェイ・マッキントッシュ。少年時代にある炭坑町で出会った不思議な老人ジョーとの夏の思い出を描いた作品は、ベストセラーとなったが、それも14年前の話だった。世界中の珍しい野菜や果実を育て、ワインやジャムを作り、おまじないを信じ、かつての冒険を熱っぽく語るジョーに少年ジェイは夢中になった。しかし、老人は、ある日忽然と姿を消してしまったのだった。思い出の炭坑町を訪れたジェイは、奇跡的にジョーの作った6本のワインを見つけ、持ち帰る。そして、まるでそのワインの不思議な力に導かれるように、南仏の田舎村ランスクネに移り住むことを決心する。気のいい村人たち、奇妙な隣人マリーズとその娘ローザとともに、そこでジェイを迎えたのは、なんと、懐かしいジョーの亡霊だった…。謎と愛と友情が絶妙に溶け合ったワインがもたらす小さな奇跡。薫り高く芳醇な味わいで、人生の不思議と喜びを歌い上げる、大人のための寓話。
著者等紹介
ハリス,ジョアン[ハリス,ジョアン][Harris,Joanne]
フランス人の母とイギリス人の父を持つハーフ。小説第三作目である『ショコラ』の成功で、一躍ベストセラー作家の仲間入りを果たす。イングランド北部の小さな街で、夫と幼い娘と共に暮らしている
那波かおり[ナワカオリ]
英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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ぶんこ
30
小さな字で2段組。苦手な翻訳本。しかし、いざ読み始めると止まりませんでした。子供の頃、夏休みに過ごした田舎町で出会ったジョーを題材に書いた本がベストセラーになり、その後停滞していたジェイが、ふと目にした広告で、フランスの農園を購入。ジョーと過ごした夏の思い出。畑を耕し、収穫を得るよろこび。フランスの片田舎での農家の重労働。天候に左右される生活。厳しい中にも、体を動かして収穫をする歓びが溢れていました。野心家のケリーには、イライラし、嫁を追い詰めるミレイユには哀しさを、嫁のマリーズの強さ健気さに涙しました。2014/09/20
蘖
5
何度も読んでる大好きな本です。光や雨や土の感触が伝わってくるような文章が好きです。現代のお話でありながら、本物の『魔法』が出てくる不思議な小説です。『ショコラ』と舞台を同じくするため、登場人物のその後がほんの少しみられるのが良い。ランスクネの話がもっと読みたくなりました。2011/10/11
須藤
4
誰でも持っているだろう「少年少女時代に見た世界の眩しさ」の描写に惹かれて、一気に読んだ。都会の喧噪を離れて、ゆっくりと自分を取り戻していく主人公の姿は、国産のお話しではないのに共感を覚える。タイトルにもなっているブラックベリーワインや、さりげない食事の描写もとても魅力的で、読んでる間ずっとなにか食べたくなった。静かで切ない謎、温かで優しい謎が緩やかに解けるラストは爽やかで、読後感も良く満足。作者の著作「ショコラ」との繋がりも多数出てくるので、お好きな方は本作もぜひ。2010/01/20
さつまおごじょ
1
ショコラが好きで、作家買いの記憶。同じ村が舞台。ショコラほど印象に残っていませんが、面白く読んだから、実家に残していたのだろうな。2019/01/04
偽教授
0
映画化されたショコラの続編なのだが、例のチョコレート屋の親子が「村から旅立って行った」というげっそりする事実が語られている以外前作との繋がりはほとんどない。