たった独りの引き揚げ隊―10歳の少年、満州1000キロを征く

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 364p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784048850421
  • NDC分類 789.2
  • Cコード C0095

内容説明

一九四五年、満州。少年はたった独りで死と隣り合わせの曠野へ踏み出した!四一連戦すべて一本勝ち。格闘技で生ける伝説となり、山下泰裕を指導するなど、日本柔道界・アマレス界にも大きな影響を与えた男・ビクトル古賀。コサックの血を引く男は「俺が人生でいちばん輝いていたのは一〇歳だった」という。個人史と昭和史、そしてコサックの時代史が重なる最後の男が命がけで運んだ、満州の失われた物語。

目次

序章
第1章 ハイラル最後の日
第2章 コサック最後の少年
第3章 ハルビンの孤独な日々
第4章 追い払われて
第5章 満州一〇〇〇キロ、独り歩き
終章 「古賀正一」から「ビクトル古賀」へ
番外編 コサックの流転、ラーパルジン一族の物語

著者等紹介

石村博子[イシムラヒロコ]
1951年北海道生まれ。ノンフィクションライター。法政大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

79
10歳の少年が、1945年8月ソ連軍が侵攻してきた内モンゴルのハイラルからハルビン、新京、奉天、錦州を経て、佐世保に辿り着いた。彼の名は古賀正一、日本の柔道界、アマレス界の指導者でサンボの神様といわれたビクトル古賀である。日本人の父と白系ロシア人の母との間に生まれ、コサックの血を受け継いで育った。引き揚げ時、日本人の集団から「ロスケ」と追い払われ、満州の曠野を左に線路、上に太陽、前方に木を見ながらの単独行。彼の生還を可能にしたのはコサックのもつ生きる知恵だった。引き揚げ者がソ連軍や地元民の襲撃など悲惨な状2016/12/30

ぶんこ

61
藤原ていさんの引き揚げの本を読んでいたので、どんな悲惨な本かと覚悟してましたが、いい意味で予想を覆させられました。そしてコサックという人々の事を知る事が出来たのも収穫でした。柳川の士族の父とコサックの母を持つビクトルが、長男という事でコサックの祖父や友人、馬たちから教えてもらっていた生きる上での智恵と精神が、ハルビンからの過酷な一人旅に大きな力となっていました。サバイバル能力というものを考えさせられます。自然に逆らわない、自然を味方にする。置き去りにした人々を恨まない。この楽天的な明るさは素晴らしい。2016/07/07

かおりんご

60
ビクトル古賀さんの自伝。11才の子が、1000キロも一人で旅をしたのがすごい!やっぱりコサックの血が入っているから出来た偉業なのでしょうか。旅をした部分が、このほんの半分くらいで、あとは彼の生い立ちやコサックについての話が多かったです。とても興味深かったです。引き上げのところだけ抜き出して、児童書にしても面白いかも?2014/12/14

fu

32
この手の本は何冊か読んだが、引き揚げの悲壮感が漂わず、楽しげに1000キロ歩いているのはこの10歳の少年ビクトルぐらいだ。所持品もほとんどなく単独行にも関わらず。「下を向いたら元気がなくなる。大人のように死んでしまうぞ。本当の敵は銃撃でも狼でもない。焦燥と落胆に押しつぶされて生きる力をなくしてしまうことだ」コサックで鍛えられた強靭な体力と、野性的な感覚の鋭さ、思慮深さそして不屈の精神があってこそだろう。2014/11/22

ひさしぶり

28
40連勝無敗のサンボのチャンピオンの格闘家の歴史ではなく日本人とロシア人のハーフの少年の話。ビクトル古賀 わずか10歳、満州ハイラルを出てハルビン経由で独り日本への引き揚げを成し遂げられたのはコサックのDNAがあったからだと本著を読むと分かる。川の音や匂い川相や虫除けの知識、風や雲を読む。藤原ていのような悲痛な引揚物語ではない。とはいえ裏切りや拒絶はこころ傷む。終戦間近からの満州やコサックの歴史の一部を知れる貴重な本だった。2023/02/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/436458
  • ご注意事項

最近チェックした商品