昭和二十年夏、僕は兵士だった

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  • サイズ B6判/ページ数 266p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784048850216
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

内容説明

南方の前線、トラック島で句会を開催し続けた金子兜太。輸送船が撃沈され、足にしがみついてきた兵隊を蹴り落とした大塚初重。徴兵忌避の大罪を犯し、中国の最前線に送られた三國連太郎。ニューブリテン島で敵機の爆撃を受けて左腕を失った水木しげる。マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、沖縄海上特攻を生き延びた池田武邦。戦争の記憶は、かれらの中に、どのような形で存在し、その後の人生にどう影響を与えてきたのか。『散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道』(大宅壮一ノンフィクション賞)の著者が綴る、感涙ノンフィクション。

目次

賭博、男色、殺人―。南の島でわたしの部下は、何でもありの荒くれ男たち。でもわたしは彼らが好きだった。―金子兜太
脚にすがってくる兵隊を燃えさかる船底に蹴り落としました。私は人を殺したんです。一八歳でした。―大塚初重
逃げるなら大陸だ。私は海峡に小舟でこぎ出そうと決めました。徴兵忌避です。女の人が一緒でした。―三國連太郎
もうねえ、死体慣れしてくるんです。紙くずみたいなもんだな。川を新聞紙が流れてきたのと同じです。―水木しげる
マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、そして沖縄特攻。二〇歳の頃に経験したことにくらべれば、戦後にやったことなんか大したことない。―池田武邦

著者等紹介

梯久美子[カケハシクミコ]
1961(昭和36)年熊本県生まれ。北海道大学文学部卒。編集者を経て文筆業に。2006(平成18)年、初の単行本である『散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yomineko@猫毛まみれ

74
水木しげるさん、三國連太郎さんら5名の戦争体験談。悲惨過ぎた。水木しげる先生の戦争に関する本はもっと前に読んでいたが、改めて先生の苦悩が偲ばれた。戦後、大学に入られた方もいて「良かった」と思ったが現実はかなり残酷で「何故徴兵を避けなかったのか。死に物狂いでやれば出来たはず。」などと理不尽なイジメに遭う。城山三郎さんも戦後一橋大学に入学してかなり酷い目に遭ったそう。。。戦争で身も心もズタズタにされたばかりではなく、死ぬまで戦争の傷跡は消えない。2021/09/30

55
「なぜ無謀な戦争を避けられなかったのか。その理由は、日本人一人一人の中にあるはずです。辛くてもそれと向き合わないと、また同じことを繰り返すに違いありません。戦死者たちはもはや何も語りません。かれらの死は一体何であったのか。日本という共同体は、その共同体の為に死んだ人々に対し、心から向き合い、弔うということを蔑ろにしてきました。死者を置き去りにして繁栄を求めた日本人は、同時に、この戦争によってアジア各国に対して途方も無い戦禍を及ぼし、それらの人々の心を傷つけてきた事実からも目をそらし続けてきたんじゃないか」2015/02/23

ころりんぱ

45
職業軍人や召集された下士官、一兵卒、軍隊の中での立場もバラバラの五人の証言はどれも重たくて。当時、ありとあらゆる男子が戦場に連れて行かれ、そこで皆無惨な体験をして生き残り、その後戦争を背負って生きてきたのだなと思った。私の祖父も衛生兵として南方へ行った事があったらしく、病院で死ぬ間際には看護師さんを敵と間違えて暴れて困らせたり、うわ言で仲間に謝ったりしていた。元気だった時に話を聞けば良かったと思った…話したくないと言われたかもしれないけれど。戦争を語れる人がどんどん減っていく。貴重な本だと思った。2014/03/12

James Hayashi

38
著者が五人の兵士もしくは軍属だった人にインタビューし書き起こされたもの。金子兜太(俳人)、大塚初重(考古学者)、三國連太郎(俳優)、水木しげる(漫画家)、池田武邦(建築家)。それぞれ違った場所で違った戦争体験をされているが、身近で亡くなっていく人を見、決意はされていたと思われる。死線を見た方々も生きるチャンスをものにし、その後の人生で成功を収めているが、強い生命力を感じる。個人的には彼らが戦後、軍首脳やアメリカに対しどのような感想を持っているのか知りたいと思った。2017/09/05

25
当たり前のことなんだけど、著名人でも戦時中は兵士だったんだと改めて気付かされた。戦争というものは、生と死が隣り合わせ。ちょっとの差で、生き残るものと死ぬものとにわかれる。死神の気まぐれで選択されているようでゾッとする。2014/08/03

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