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初心者のための「文学」

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784048839556
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

内容説明

文学に流されず、文学に損なわれず、文学を読む自分を勘違いせず、正しく文学と出会い、正しく文学を読む十講。

目次

第1講 「私」と書き始めれば「私」が現れる「文学」をまず疑う―扱う作品/三島由紀夫『仮面の告白』
第2講 戦争という「わくわく」した現実と「私」であることの関係―扱う作品/太宰治『女生徒』
第3講 「文学」とは「私」でない誰かのために「私」がなしうることではないのか―扱う作品/井伏鱒二『黒い雨』
第4講 「日常がいや」という「生きづらさ」は何故、始まったか―扱う作品/島尾敏雄『出発は遂に訪れず』
第5講 「私」の外側で「私」を見つめるのは誰か―扱う作品/大岡昇平『野火』
第6講 「萌え」と「血筋」と近代文学の関係―扱う作品/李恢成『伽〓(や)子のために』
第7講 「箱男」を疑いつつ「箱男」であること―扱う作品/安部公房『箱男』
第8講 「空気」を読む「文学」は転向する―扱う作品/中野重治『村の家』
第9講 「文学」は「空想の地図」であってはいけない―扱う作品/中上健次『十九歳の地図』
第10講 孤立し、ただ一人、闇の奥へ―扱う作品/大江健三郎『芽むしり仔撃ち』

著者等紹介

大塚英志[オオツカエイジ]
1958年生まれ。まんが原作者。批評家。批評誌『新現実』主宰。神戸芸術工科大学メディア表現学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

89
ラノベ雑誌「ザ・スニーカー」連載をまとめたもの(2006)。ラノベ対象者の中高生向けに、戦後日本文学の作家作品と読み方を紹介。三島、太宰、島尾、大岡、井伏、中上、大江の作品とテーマや手法を引用を交えて評論。「生きづらさ」「日常のつまらなさ(戦争などの非日常の高揚感)」など、普遍的な部分と誤解されうる癖など。著者自身の主張部分もあり、全面的に賛成できないのだが、漫然と作品を読むことではなく、著者の明瞭な解説で、正直難解な問題を意識することができる。予想していなかったレベルの内容で感心した。お勧めの良書。2018/10/14

メタボン

29
☆☆☆ 大塚は基本的に「文学」を信じていない。だからこそ読みとれるものもある。李恢成に対してはかなり辛辣。太宰の「女生徒」から得られる解釈として、戦争をわくわくしたものととらえ、退屈な日常を恐れるという感覚は、非常にわかる気がする。2017/03/27

ころこ

19
戦後日本文学の名作を若い頃に読んできた、いわば「子供読み」の読後感を、根拠づけて「大人読み」にしてくれます。タイトルに「初心者」とあるのは、根拠づけの論点をかなりはっきりとしていることにあります。はたして、この根拠づけを、どれだけの読者が事前に意識していたのでしょうか。ここに書かれていることは、明確に書かれているとしても、決して簡単に理解できることではありません。第2講・太宰治では、戦時下のわくわくする「私」と戦後の「生きづらさ」を対比させて、前者は『女生徒』に、後者は『斜陽』や『人間失格』に代表させます2018/04/10

りんご飴

2
大塚英志さんの文学の読み方はさっぱりしていて好きです2014/12/15

滝ボーヨ

2
三島由紀夫、太宰治、大江健三郎……。ライトノベルズ雑誌に掲載されていたコラムとしては随分とコテコテな、つまり「古典的文学の香りがする」作家を選んだ所にこの批評の魅力があるように思う。ここではいわゆる文学なるものへ向かって情緒的な、もっといえば表層的な読み取りはいっさい行われない。むしろ冷静に、システム的に捉え直し小説の骨子だけを慎重に抜き出していく。するとその骨子は過去だけでなく現代を捉える尺度となって読者の前に現れるのだ。文学をどう読んでいくかというよりも、どう取り扱っていくかが書かれた本だと思う。2012/07/02

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