出版社内容情報
晴らせぬ恨みを請負い、裏の渡世人たちが仕込む驚愕の仕掛けとからくり!
直木賞受賞作「後巷説百物語」へ続く、若き又市たちの活躍を描く。大胆な仕掛けで恨みを晴らす又市たちの出会いが語られる。
内容説明
大損まる損困り損、泣き損死に損遣られ損。ありとあらゆる憂き世の損を、見合った銭で肩代わり。銭で埋まらぬ損を買い、仕掛けて補う妖怪からくり。寝肥、周防の大蟆、二口女、かみなり、山地乳、旧鼠―小股潜りの又市が、初めて見せる御行姿。明治へ続く巷説が、ここから始まる百物語―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
94
巷説シリーズの原点的作品と言えるでしょう。江戸時代を舞台に、若い又市さんが活躍します。まだ青さがあるせいか、失敗や反省することが多いのが微笑ましいけれど重く感じます。拙さが見られるだけに、他の作品の又市さんが成長したなと思えるのかもしれません。義理と人情で果敢に事件を解決しようとする姿が恰好良いです。歯がゆさもありつつ、魅力のある又市さんを堪能できました。2017/07/18
優希
37
再読です。江戸時代を舞台に若き又市さんの物語。まだ青さが感じられ、失敗や反省ばかりなのが微笑ましかったです。義理と人情で果敢に事件を解き明かそうとする姿は格好良いのですけどね。又市さんの魅力を堪能しました。2023/12/31
藤月はな(灯れ松明の火)
34
又市が御行になるきっかけを描いた作品。まだ、上手く、立ち回れずに人の死に対しても蟠りを感じる若き日の又市の青さが素敵です。「旧鼠」での又市と共に仕事を請け負い、日々を過ごした者達の死は心にしんしんと染み入るほど悲しかったです。又市はこの出来事から周りを丸く、治める仕掛けを責任もって施す覚悟に胸を打たれました。2010/11/02
たかゆき
31
再読。エピソード0ということもあり仕掛けは悉く拙く又市も失敗と反省ばかりなのでシリーズの中でも特に重い。初読の際はその重さに引きずられ良い印象は薄かったが、少し余裕を持って見れた再読は、又市のヨチヨチ歩きのような成長を微笑ましく感じれた。謎の親心w 市原隼人2016/11/26
よむよむ
28
巷説を初めて読んだ時は、少し難解な感じがしてあまり楽しめなかった。でも続、後と続いて、面白さがわかってきたところにコレ。言い方がおかしいけど、内容がすごくやわらかく感じるのは気のせい?又市が隣でしゃべっているような感覚がありました。若い時から達観してたのね~又さん。そして何人かの方と同じように、山崎様のキャラが秀逸!もっともっと活躍を見たかった・・・真に無念!2010/03/17