内容説明
お前も勉強しないで、あそんでいると、くるまたにさんみたいになってしまうよ。生きることの修羅と恥辱。赤裸の私小説31篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじみどり
17
超短篇31作。「非ユークリッド的な蜘蛛」を読んでこの短篇集は新しい作風なのかもしれないと思ったが、2作目以降はいつもの車谷さんだった。「愚か者」という作品は収録されておらず、総称して「愚か者」、各タイトルに「愚か者の」という( )がついていそうな内容で、「勉強しないで遊んでいてるとくるまたにさんみたいになってしまうよ」と言われると、言われた方は「え〜いやだなそれは、勉強しなきゃ」というやりとりを自由に空想できる楽観がある。自嘲、皮肉は散りばめられているが、ほのぼのした空気が他の作品と違った。2012/07/04
秋良
8
「お前も勉強しないで遊んでいると、車谷さんみたいになってしまうよ」と書いてしまう、直木賞とったって消えない強い劣等感におかしみがあって、軽やかに読める。というか内容のわりにこの人の本は読みやすい。何か隠喩があるのかもしれないけど、私は不思議なものは不思議なまま読むのが好きなので、不条理なお話をそのまま読んだ。2018/04/20
三柴ゆよし
8
「畸篇小説」とは車谷氏の造語であろう。不条理かつ歪なユーモアに満ちた掌篇群。『赤目四十八滝心中未遂』のような長篇も素晴らしいが、やはりこの人は短篇・掌篇向きの小説家だ。収録作の半分以上は既存の作品集に収録されているので、千八百円はちと高額な気もするが。それにしても禍々しい。「お前も勉強しないであそんでいると、くるまたにさんみたいになってしまうよ」。それは厭です。勉強します。2009/08/27
hirom
3
面白かった。長吉の小説にある言葉のちから、文章の力ということを考える。最近は韻文の方がむしろより散文的に感じられるものも多いから。2018/02/03
星辺気楽
3
何やら、今昔物語のような・・・ 2016/03/07