内容説明
異様に熱情的な男と女、エネルギッシュな老人たち。島は生命力に満ちあふれていた。しかし―彼らが遭遇した未曾有の惨劇とは!?人類の「生存」と「闘争」の根源に迫る渾身のホラー長編。
著者等紹介
佐藤大輔[サトウダイスケ]
昭和39年生、石川県出身。20歳の頃からシミュレーションゲームのデザインを手掛け、資料分析と歴史考証を元に「北海道侵攻」「SDFシリーズ」など多くの作品を生み出す。「逆転・太平洋戦史」で架空戦記と呼ばれるジャンルにデビューする
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロくま
21
初読みの作家さん。バイオハザード的なパニック物だけど、ちょっと違う感じ。バイオな事やミリタリーな事など専門的な下りは濃いめに書かれていたと思う。本能むき出しの狂った人々が荒れ狂う様は確かに怖かったけど、実は主要人物達がもっとも怖い奴らだったのかな。2017/04/18
鐵太郎
10
もう刊行されて15年経ったか。最初読んだときにはエロのところばかり気になったのだけど、今回読み直すとちょっとイメージが変わった。これは、佐藤大輔の考える終末論なのだね。人類の末路についての、大ちゃん的な解釈。人生と戦う事をやめたくなった青年、人との軋轢に疲れた女、引き籠もりのミリヲタの少年と謎めいた複雑な過去を持つその祖父、剣道に打ち込む以外人生の目標が亡くなった少女の5人が見た地獄なのですが、しかし同時にいかにも大ちゃん的に、未来へのわずかな光も見せてくれる物語。重いけど、いいね。2017/11/03
macky20247
3
バイオハザードかゾンビ映画、感染症パンデミックモノの小説版。結末が、「あれっ?」という感じで終わってしまった。「暴力」と「性」という人間の欲望が滅びの道となるのは象徴的と言えるのかも知れない。2014/08/04
ゆりいか
2
内容はエロゲ的なのだけれど、クローズドな環境で周囲が狂人化するというシチュエーションはやはり王道的な面白さと恐怖がある。2020/03/11
511
2
1.佐藤大輔はこうも書けるのかと驚いた。非常に簡潔で過不足ない。読みやすい。そうでありながら会話の歯切れの良さは損なわれておらず、物語の理論を丁寧に積み上げている。ありがちなゾンビパニックものと一線を画するのはこういった点があるからだろう。2.オチに笑った。そんなくだらない理由と計画が惨劇をうむとは。そしてそんなくだらない世界で生き残れるのはこれまたくだらない殺し屋だけなのだ。筆者のニヒルさと黒いユーモアが存分に発揮されている。そしてそれを笑ってられない状況に現実の私たちがいるというのが最高に笑える。2016/10/31