内容説明
愛しきれない、憎みきれない。押しかけてきたおかしな女の魅力に取りつかれ始める、亡霊のような私―。死、癒し、永遠の日常を清新なまなざしで追う、恋愛小説の新しい波。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さおり
66
再読。初めてこの本を読んだ時、私は19か。遠いな。ずっと年上だった登場人物たちも、年下だ。大人になったらわかる気持ちってのがあると思っていたけれど、そんなものはないのか、まだ早いのか、とにかくわからないままだった。それでも好きなんだよね、お話の中に漂う空気が。2014/09/22
ann
61
約ひと月かけて半分読み、残り半分を今日の午後から一気読みした。上手く言葉になんて出来ない。紛れもなく今日の午後、私は梨果であり、カツヤノカナイであり、華子だった。すれ違う魂の物語。もう一度読みたいけど、それはもう少し幸せになった時に。2017/05/19
ハゲ郎
16
江國さん!ええは〜なんとも鉛を飲み込んだ様な(そんなもん飲んだ事ないけどね)それでいて透明感があって・・・。独特やね、筆舌に尽くし難い読後感。ええねん、兎に角ね。2014/08/19
春色
9
8年間同棲していた恋人から告げられる別れ。「好きな人ができた。」その件の女性・華子が、梨果の家に転がり込んできて、一緒に住み始める。女の嫌な感じがしなくて、どこまでも自由奔放で透明な華子。華子に夢中であることを隠せないというか、隠そうともしない健吾の言動に傷付く莉果も、華子の存在にどっぷりと浸かってしまう。全然理解できない三角関係なのに読んでしまう。映画化されている様ですが、予告で観た華子はイメージが違う…あんな不思議ちゃんという感じではないと思うんですよね。2021/08/23
まぶりな
8
再読。すごく久しぶりに読んだけど、これは覚えてた。それぐらい華子が印象的で魅力的だった。漂うように現れて漂うように居なくなったくせに、周囲の人々に与える喪失感の大きいこと。それは、居なくなった後ですら、「部屋の中に充満していた寒天状の華子」と表現される。2016/09/29