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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
83
著者の身に起きた「妻の死」という実話をもとにした作品。実話を作品にすると客観性が欠けがちで、よく読者を置いてけぼりにすることがあるけれど、この作品からは、過去のものとしての距離と安息の場がようやく得られた著者の今が伝わってきた。克明に緻密に再現された部屋の中、表情から滲み出る空気感が随所で胸をしめつけてくる。でもその一方で、やはりどこか他人事だと思いながら平然と読んでいる自分もいた。なのになのに最後の最後でとうとう泣かされた。「さよなら」と「おかえり」の重さをこれほど感じた作品は初めてだった。2013/07/02
ジョニーウォーカー
40
コミックはよほど面白いものでないと読後すぐに売ってしまうが、これは違う意味で売れないわ…重すぎて。ある日突然、最愛の妻を失った漫画家が、その悲しみから立ち直るまでの日々を淡々と描いた回想録。出逢った頃の思い出や、トイレやお風呂にまで「手伝うよ」とついてくる奥さんのちょっとした甘えぶりまでもが細かく描かれており、著者にとって本当にかけがえのない人だったんだな、ということがリアルに伝わってくる。虎舞竜じゃないが「なんでもないようなことが幸せだった」を痛いほどに感じる作品。連載したコミックビームは尊敬に値する。2010/09/28
K(日和)
30
ありがとう。その気持ちを形に、漫画にしてくれて。近くにありすぎてそのありがたさが感じられないことがよくある。1日の価値。目が描かれていない生き物に対して恐怖を感じる、ってどこかで読んだなあ、とふと思い返した。2016/04/06
北杜夫そっくりおじさん・寺
29
古本屋で立ち読み。愛妻を失った漫画家のドキュメント。共に暮らす人間が亡くなるってこうだよなぁ。ましてや愛した女性ならばなおさら。生前の奥さんの乳を揉むシーン等があるが、それさえも切ない。娘さんが大人になって読んだ時、決していやらしいとは思わないだろう。きっと愛の喪失を乗り越えて、自分を育てた父の孤独に泣くだろう。2012/06/27
みーなんきー
27
著者が妻を亡くしたその後の心境を、生きていた頃の回想とともに描いている、というもの。表紙の装丁も素敵だし、絵がとにかくリアルで上手い。再婚もされたようだが、ここまで1人の人間の一生を描いてもらえたなら、前妻さんにも供養になったことだろう。涙無しでは読めない作品。2015/10/05