角川選書<br> 空海の企て―密教儀礼と国のかたち

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角川選書
空海の企て―密教儀礼と国のかたち

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  • サイズ B6判/ページ数 246p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784047034372
  • NDC分類 188.52
  • Cコード C0321

内容説明

平安時代の8世紀、護持僧として天皇の身体を守り、さらには国家鎮護の加持祈祷へと密教儀礼を国家規模に推し進めた空海。密教の即身成仏の思想を国家との「入我我入」というかたちで密教と国家を結びつけ、宮内大内裏に密教道場の真言院を設立して天皇と国家の鎮護を祈祷した。国の中枢に注入したこれらの密教コードによって、空海がいかにして宮内祭祀と国家統治のシステムをつくりあげたか。壮大なスケールで構想されたその企てを描く。

目次

空海の「密教コード」
玄〓(ぼう)・道鏡につながる空海
坂口安吾の小説『道鏡』
性差から自由だった女帝
皇位継承と「カリスマ原理」
霊肉二元の感覚、心身一元の思考
幻惑の詩人、豪胆の冒険家、空海
「御修法」という治療儀礼
天皇の生命危機をどう回避してきたか
神仏協同の天皇・国家鎮護システムの危機
「統治」のための詩文の道
『三教指帰』、青年空海のさ迷える自画像
空海の創見―「即身成仏」「加持」「入我我入」
「手」と「声」―即身成仏のための両輪
国家との「入我我入」
真言院の座標
不動明王を中心にすえた真言院の堂内荘厳
密教コードとしての「摂関政治」
新嘗祭・大嘗祭の「神道コード」
三百五十年の「平安」時代と「国のかたち」

著者等紹介

山折哲雄[ヤマオリテツオ]
1931年生まれ。宗教学者。東北大学文学部印度哲学科卒業。同大学文学部助教授、国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター教授を経て、同センター所長などを歴任。著書に『愛欲の精神史』小学館(和辻哲郎文化賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

moonanddai

9
国王(天皇)の健康管理を、加持祈祷により「もののけ」を鎮めるという密教儀礼により行うことによって、ひいては「国家の安泰」を祈願するという空海の考えが見えてきます。それにしても、この「密教」というもの、当時としては相当目新しい、「目くるめく」ようなムーヴメントだったのでしょう。2021/05/11

Splash

3
本書を読むと、空海は壮大な野心家だったことがわかる。筆者は我が国における密教の始祖となり、宗教界の頂点に立っただけではあきたらず、天皇という権力装置の中に加持祈祷という仏教の儀式を組み込み、天皇の生命を守る形で世俗権力も得ようとしたと見立てている。恵果から外国人の空海に密教の伝授を受けたり、嵯峨天皇の信頼を得たり、すぐれた才能と魅力もあったのだろう。その良い面だけが、弘法大師として現在に引き継がれているように思う。2016/05/19

どくばり・あり

0
〈空海のやった仕事の面白さは、「密教コード」の導入によって「神道コード」の存在を意識化させ、宮廷祭祀の二元体制という基本的な国のかたちを生みだしたという点にある。〉すなわち現在の日本のかたちは1300年前に空海がしつらえたのだ! という刺激的な内容。それがどれほど凄いことで、また、奇跡的な達成だったのかをわれわれ素人衆にわからせるため、山折先生は「山道を散策しながら語る」方式を用いられた。途中の展望台で見る今上天皇と美智子妃の姿は、前半でみた道鏡&孝謙上皇のカップルの姿と対比されて、きわめて印象的だ。 2011/11/08

はにゃん

0
☆難しいかったよ~。テーマは面白かったので、興味津々な内容なんだけど言葉が難しすぎて・・・。これをわかりやすくした本はないものか。2010/04/19

てくた

0
読んでいるうちに、以前読みかけて拒否感が出できたため、完読できなかった本だと判明。今回は違和感はあるものの、頑張って読み終えることができた。 学術的というよりも、煽るような週刊誌的な文体で、読みやすいといえば読みやすいのかも。 内容が現代の天皇制や、空海に関係ない話にあちこち飛んでいるのは、読みづらか思いました。 道鏡についての坂口安吾の小説のあらすじとか…全く個人的に興味ない上に、空海にほぼ関係ないと思われる部分は何故書いた?と感じる。 この著者の空海像は、あんまり参考ならならないと思います。2024/01/10

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