内容説明
平安時代の8世紀、護持僧として天皇の身体を守り、さらには国家鎮護の加持祈祷へと密教儀礼を国家規模に推し進めた空海。密教の即身成仏の思想を国家との「入我我入」というかたちで密教と国家を結びつけ、宮内大内裏に密教道場の真言院を設立して天皇と国家の鎮護を祈祷した。国の中枢に注入したこれらの密教コードによって、空海がいかにして宮内祭祀と国家統治のシステムをつくりあげたか。壮大なスケールで構想されたその企てを描く。
目次
空海の「密教コード」
玄〓(ぼう)・道鏡につながる空海
坂口安吾の小説『道鏡』
性差から自由だった女帝
皇位継承と「カリスマ原理」
霊肉二元の感覚、心身一元の思考
幻惑の詩人、豪胆の冒険家、空海
「御修法」という治療儀礼
天皇の生命危機をどう回避してきたか
神仏協同の天皇・国家鎮護システムの危機
「統治」のための詩文の道
『三教指帰』、青年空海のさ迷える自画像
空海の創見―「即身成仏」「加持」「入我我入」
「手」と「声」―即身成仏のための両輪
国家との「入我我入」
真言院の座標
不動明王を中心にすえた真言院の堂内荘厳
密教コードとしての「摂関政治」
新嘗祭・大嘗祭の「神道コード」
三百五十年の「平安」時代と「国のかたち」
著者等紹介
山折哲雄[ヤマオリテツオ]
1931年生まれ。宗教学者。東北大学文学部印度哲学科卒業。同大学文学部助教授、国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター教授を経て、同センター所長などを歴任。著書に『愛欲の精神史』小学館(和辻哲郎文化賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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