内容説明
花やかに華やかに神仏を降ろす。歌舞いて傾いて、神仏を喜ばす。かつて歌舞伎とはそういうものであった。神仏の側のものであった。今一度、歌舞伎のその芸を神仏の許へ戻そう。処女にも伊達者にも変化して、神仏を口説いて、神仏をまねく。風流、憑人、俳優。怨霊・梅原猛が、傾き、神仏を降ろし、歌舞伎のワザを招ぐ。
目次
第1幕 ワザヲギの呪力―神降る場・神がかる肉体(「ヤマトタケル」から始まる;『古事記』という文学;「ヤマトタケル」で描く父、そして女性;怨霊史観とは;怨霊と芸能;戯曲「水底の歌」の直感;直感と検証;亀治郎の歌舞伎;霊を宿す“器”としての肉体;孤独に耐える力;ワザヲギの“技”)
第2幕 ワザヲギの運命―神に見せる・神を魅する(身振りと科白;「鳴神」のリアル・「仮名手本」のシュール;歌舞伎を壊して歌舞伎を創る;思想劇としての歌舞伎に挑む;古典の裏切り;神を負って;職能者としてのワザヲギ;“歌舞伎”の向こう側へ)
著者等紹介
梅原猛[ウメハラタケシ]
哲学者。大正14年(1925)、宮城県に生まれる。生まれてすぐに愛知県知多半島の内海の名士で、梅原一族の頭領である伯父夫婦の養子となり、京都大学入学まで海と山に囲まれて過ごす。哲学から仏教の研究に入り、その間に『隠された十字架』(1972)、『水底の歌』(1973)を執筆。その後、縄文・アイヌを研究。「梅原日本学」を確立。現在、「梅原学」確立のため、再びアイヌ研究に入る。国際日本文化研究センター初代所長
市川亀治郎[イチカワカメジロウ]
歌舞伎役者。昭和50年(1975)、東京に生まれる。本名・喜熨斗孝彦。父は四代目市川段四郎。伯父は三代目市川猿之助。慶應義塾大学に進み、国文科に学ぶ。二代目市川亀治郎としてのデビューは、昭和58年(1983)7月の歌舞伎座公演「戻駕色相肩」。第二十三回松尾芸能新人賞、第二十三回浅草芸能大賞奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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