内容説明
省エネをモットーとする折木奉太郎は“古典部”部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理する―。あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか“古典部”を過ぎゆく1年を描いた全7編。
著者等紹介
米澤穂信[ヨネザワホノブ]
1978年岐阜県生まれ。2001年、第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を『氷菓』で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
823
再読短編集。コミックでは長編のあいまに出てくるエピソードも、ここにまとまって収録。道理でコミックの内容に既読感があったはずだ。短編とは言え、古典部の人間模様が複雑に変化していること、これからも変わっていくことが読み取れる。決して一枚岩などではない四人組の結束(最初からそうだと言われれば確かにそうだ)。果たしてそれはどこへ行くのだろう。高校生活はわずか3年。有限の期間にすぎないことを、改めて確認するような作品群だった。「氷菓」からの現実の歳月を思えば、勝手に意味深に思ってしまっても不思議ではないだろう。2014/09/03
射手座の天使あきちゃん
601
シリーズ4作目は、古典部発足時まで遡って「こぼれ話」を拾い集めた短編集ですよん♪ そっか「心あたりのあるものは」や「あきましておめでとう」はあの作品が下敷きなのね、米澤さん読書量スゴっ!! それにしてもホータロー君、「遠まわり雛」に見つめられて、「ふたりの距離の概算」をどう縮めるのよ? どうよ、どうなのよ!? (*^_^*)/ 2012/07/22
佐々陽太朗(K.Tsubota)
579
短編ミステリ、それも日常のミステリの魅力を余すところ無く楽しめた。ミステリとしての楽しみに淡い恋心の芽生えがいい感じに情緒を添えている。さて、今、手元には『九マイルは遠すぎる』(ハリイ・ケメルマン)と『二人の距離の概算』(米澤穂信)がある。どちらを先に読むべきか。悩むなぁ。二人の女性から、それも極めつけの魅力を持った女性から同時にデートのお誘いを受けた気分はきっとこんなだろう。体はひとつしかないからなぁ。うーん・・・・・2012/07/21
くろり - しろくろりちよ
497
古典部シリーズ四冊目。今回は、一作目の『氷菓』事件の後から、年越しまでの時間をふんだんに使って描かれた短編。ホータローの省エネ主義が千反田さんを始めとした古典部員によって段々崩されていく…。いい傾向だとニヤニヤしてしまったり。春来たる…な一冊です。摩耶花と福部の関係は意外に複雑。摩耶花の大胆さは好きになれないけれど。戸惑う…よね、あまりに真っ直ぐな想いには。千反田さんのお嬢様振りはかっこよくて素敵で、まさに省エネ主義を覆すほどの魅力。どうするホータロー…と続きが「わたし、気になります!」2012/02/28
kishikan
491
古典部シリーズ第4作。今回は全7作の短編集。でも、それぞれ展開が速いのでとても読みやすい。謎解きはそれ程凝ってはいないけど、初めて4人の関係性に言及しているので、学園ドラマ、青春小説という点では、本作を読まないとシリーズ全体を把握できないのかもしれませんね。千反田さんについても、本作から随分個性というか本人の気持ちも前に出てきたし、一体ホータローとの関係はどうなるんだろうとオジさんはヤキモキ。僕も、後半3作が好きだなぁ。次作を読むのが楽しみです。2012/12/03