内容説明
「三島や太宰が戦争を“わくわくした時代”として描いたのは何故なのか?」「『箱男』は、“ひきこもり小説”であり、『伽〓(や)子のために』は“萌え小説”である」「やはり、大江は読んでおいたほうがいい」―など、筆者ならではの視点で、戦後の代表的な文学のほんとうの読み方を説く十一の講義。村上春樹『海辺のカフカ』の新しい読み方を案内する書き下ろしを収録。「文学」を正しく読むための、唯一無二の「文学」の取扱い説明本。
目次
「私」と書き始めれば「私」が現れる「文学」をまず疑う―扱う作品/三島由紀夫『仮面の告白』
戦争という「わくわく」した現実と「私」であることの関係―扱う作品/太宰治『女生徒』
「文学」とは「私」でない誰かのために「私」がなしうることではないのか―扱う作品/井伏鱒二『黒い雨』
「日常がいや」という「生きづらさ」は何故、始まったか―扱う作品/島尾敏雄『出発は遂に訪れず』
「私」の外側で「私」を見つめるのは誰か―扱う作品/大岡昇平『野火』
「萌え」と「血筋」と近代文学の関係―扱う作品/李恢成『伽〓(や)子のために』
「箱男」を疑いつつ「箱男」であること―扱う作品/安部公房『箱男』
「空気」を読む「文学」は転向する―扱う作品/中野重治『村の家』
「文学」は「空想の地図」であってはいけない―扱う作品/中上健次『十九歳の地図』
孤立し、ただ一人、闇の奥へ―扱う作品/大江健三郎『芽むしり仔撃ち』〔ほか〕
著者等紹介
大塚英志[オオツカエイジ]
1958年生まれ。まんが原作者、批評家。『多重人格探偵サイコ』『アンラッキーヤングメン』などまんが原作者としての「本業」の傍ら、大学・大学院などで創作理論についての講義を持つ。神戸芸術工科大学教授。東京藝術大学大学院兼任講師。批評誌『新現実』主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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yumiha
三柴ゆよし
東京湾
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