内容説明
修験道は、日本の歴史や宗教・文化に大きな影響を及ぼしてきた。修験道とは何か。古来崇められてきた熊野三山、羽黒山、日光山をはじめとする全国に九つある代表的な霊山を宗教民俗学者が探訪する。インドから来た熊野の神、羽黒開祖の蜂子皇子、大木の下で行う天狗祭りなど独特な宗教空間―。長く信仰され続けた足跡を辿りながら修験道の本質へと迫る入門書。日本人の宗教の原点がみえてくる。
目次
第1講 熊野信仰と熊野詣
第2講 羽黒修験の十界修行
第3講 日光修験の入峰修行
第4講 富士・箱根の修験道
第5講 越中立山の地獄と布橋
第6講 白山の泰澄と延年芸能
第7講 伯耆大山の地蔵信仰と如法経
第8講 四国の石鎚山と室戸岬
第9講 九州の彦山修験道と洞窟信仰
著者等紹介
五来重[ゴライシゲル]
1908年、茨城県生まれ。東京帝国大学文学部印度哲学科を卒業後、京都帝国大学文学部史学科に再入学。高野山大学教授、大谷大学教授を歴任。大谷大学名誉教授。文学博士。専攻は仏教民俗学。93年12月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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レアル
51
9つの修験ルートを挙げてそれらの歴史と山岳宗教について書いてある。其々の稿から山や自然宗教、民族宗教的なモノが伺えて読み応えがあり興味深かったのだが、私的には山宗教の根本のようなものを知りたかったので、少し残念だったかな。ただ其々の稿から山宗教の漠然とした概念を捉える事が出来たのは収穫かな。2019/05/15
きみー
5
ゆっくりと読了。偉大なる大先生が、分かりやすく主要な日本の山岳信仰とそこにある修験について語っています。しかし、ところどころ読みにくい…話が飛んだり、事前知識がなければ理解できなかったり。それでも、とても面白い!と思いながら、全国を歩いて回り、史料を読まれていたであろうことが、よく分かります。日本の文化は山を通して広がったのでは?と思えるほど、全国に進出していく修験者達の姿を見たような気がします。2016/01/06
垣内美希
2
日本の文化に修験道が深く関わっていることがわかった。土地や人の名前などが変化してしまったものを読み解くところが面白かった。2012/12/08
御光堂
1
熊野、羽黒山、日光、富士箱根、越中立山、白山、伯耆大山、四国石鎚山、九州英彦山の九つの修験道の歴史について解説されている。情報が凝縮されているので、さほど厚い本でもないが読むのが疲れた。中世までは熊野の修験道が全国の修験道を支配していた。出羽三山で真言宗の湯殿山にだけ即身仏ミイラがあるのは天台宗の羽黒山との差別化のためだった。といった話題が興味深い。仏教がインドでは衰えてしまって日本にこそ本当の仏教があると平安時代頃には広く日本で考えられていたという指摘も興味深い。
廃
1
熊野、羽黒、日光などの修験道の“紹介”であり、個々に雑学的に読む分にはわかりやすいものの、そもそもの修験道とは何か、神道や仏教との関係などがまとまって述べられず、各修験道の章にちりばめられているから、結局何を述べたいかがわかりにくくなっている。各論の前に総論を述べてほしいところ。