出版社内容情報
伊藤 計劃[イトウ ケイカク]
著・文・その他
内容説明
暗号名ソリッド・スネーク。悪魔の核兵器「メタルギア」を幾度となく破壊し、世界を破滅から救ってきた伝説の男の肉体は急速な老化に蝕まれていた。戦争もまた、ナノマシンとネットワークで管理・制御され、利潤追求の経済行為に変化した。中東、南米、東欧―見知らぬ戦場に老いたスネークは赴く。「全世界的な戦争状況」の実現という悪夢に囚われた宿命の兄弟リキッド・スネークを葬るため、そして自らの呪われた血を断つために。
著者等紹介
伊藤計劃[イトウケイカク]
1974年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。2007年『虐殺器官』(早川書房)でデビュー。同作品は『SFが読みたい!』(早川書房)の「ベストSF2007」「ゼロ年代SFベスト30」の第1位となる。2008年、オリジナル長編第2作『ハーモニー』(早川書房)により第30回日本SF大賞、第40回星雲賞日本長編部門を受賞したほか、「ベストSF2009」の1位にも輝く。2009年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
68
『虐殺器官』に次いで2作品目。ゲームのノベライズだそうでゲームは知らないが、読ませ方のスピード感から言って伊藤計劃の作品世界になっているように感じます。サニーの目玉焼きのシーンがかわいい。2013/09/15
翔亀
46
気晴らしのつもりだった。ゲームのノベライズだもの。ところがどうだ。この重さは。伊藤氏は原作ゲームを愛するが故、自分自身を主張する気は全くなかった、と述べる。物語をどのように語るのかという語り口に小説の神髄がある筈だから、と。確かに人物、世界観、ストーリー(連続ミッション)はゲームそのもの。しかしその土俵(近未来ミリタリーSF)上だからこそなのか、人間の無意識を支配して人類の意識を統一するシステム及び<死>の恐怖、そこからの解放という彼自身のテーマを伸び伸びと書き切っている。ゲームと小説家の奇跡的な出会い。2014/08/18
『よ♪』
42
ゲームクリエイター"小島秀夫"氏の超人気作品のノベライズ。伊藤計劃氏の作品ということで読んでみた。読み終わるのに非常に長~~~く掛かったことから推して知るべし。勿論、計劃氏の筆力は充分に感じ取れる。"軍事社会"、”戦争経済”、"管理社会"への警鐘もわかる。しかしながらノベライズであるのだからわかり易く、読み易くに重点を置いて、エンタメに徹して欲しかった。計劃氏の小島"愛"は溢れるほど伝わってくるが、それが逆に暑苦しく残念。ゲームをコンプした人向けのwiki的解説書とstoryを一緒くたにしてしまった印象。2018/08/11
がらは℃
40
罪を背負いながら生きるもの、いや罪を償わなければ死ねない人々の物語。老いに苦しみながらも、自分のやるべき事をやり通すスネークの姿は痛々しく切ない。。。前作やゲームを詳しく知らなくて戸惑う部分や固有名詞も多かったけど、その辺りの説明も丁寧に有り、単品の作品としても充分に楽しめたと思う。2010/04/25
geshi
36
これはゲームのノベライズを超え、伊東計劃にしか描けない人間と技術の関係性にまつわるSFとして一級品。錯綜したメタルギア・サーガを再構成し、ボス戦を排除しても丁寧に登場人物達の心の内を描写し彼らから見た戦争のあり方が見えてくる、シリーズへの愛が注がれた作品。オタコンを語り手とした事で、漂白された「ストーリー」ではなく、痛みや苦しみを背負いながらも何かを成し遂げようとする「his-story」=「ヒストリー」が受け継がれていく重みや尊さがストレートに伝わってくる。2016/02/03