内容説明
表参道の街を、段ボール箱を抱えて歩いてくる女の子。勘吉の目がその箱に注がれた瞬間、箱から子猫が数匹落っこちた…。“大変!捕まえて!”これが、勘吉と沙可奈、ひいては彼女の愛猫チビコちゃんとの、運命的な出会いだった―。居間や寝室、食卓でも積極的に二人の生活に参加する猫と共に、温かく心地よい場所を探し求めて移動を続ける夫婦を描いた、とびきりキュートな物語。
著者等紹介
野中柊[ノナカヒイラギ]
1964年生まれ。立教大学卒業後、渡米。ニューヨーク州在住中の91年「ヨモギ・アイス」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねむねむあくび♪
60
若い二人と一匹のお引っ越しのお話♪ゆるい暮らしぶりに、読み手のこちらもボヘーっと弛む、なごむ。猫はあまり出てこないが、サカナちゃんはどっからみても、猫型人間だろうな♪そして、猫を愛でるような勘吉くんの目線も、親猫みたいに暖かくて好き。のんびりしつつも、二人ともなかなかちゃっかり者で、そこも猫っぽい…(笑)何でもない日々、伸びやかで柔らかな時間。好きな人と一緒に暮らし始めた頃の、キラキラとフワフワの消えちゃいそうな幸せと不安。自分の新婚時代を思い出す♪勘吉君の、女の子を落とす方法は、勉強になるね!(笑)2015/07/26
ぶんこ
43
もっと生活の中心が猫なのかと思って楽しみにしていたのですが、ちょっとだけでした。 沙可奈さんのデリカシーの無さ、我儘に共感出来ず。 猫でほっこりを期待していたので、勘吉さんが可哀相だなと何度も思って読み終わりました。2015/09/26
ろくでなし@ぐーたら中
22
59点 にじみ出るホノボノビーム。気ままにひたれるユル心地。たまにこういうのを読みたくなる。歩いて20分程の距離にある新居への「引越し」という非日常的イベントを軸に綴られる、若夫婦と飼い猫の日常物語。何気ない幸せとか、悪そうに見えて実はいい人な描写、勘吉や沙可奈のセリフや考え方に、作者ののんびりまろやかな人生観が感じられ好感。女心は当然としても男心をよくぞここまで分かってるもんだ。でも参加型という割りにチビコの出番ちょっと少なめなのが残念。もっと真ん中に絡めてほしかったなぁ。あとアンチョビの件は要確認だ。2013/03/23
糸巻
21
勘吉&沙可奈夫婦と飼い猫チビコの引っ越しに伴う日常を綴った物語。勘吉の視点で展開される沙可奈の描写は、出会いからしてなんとも個性的。善く言えば小悪魔のような沙可奈に振り回されている勘吉だけど、結局は二人の暮らしを楽しんでるようにも思える。ちょっぴり我が儘な沙可奈の言動も、慣れてくるとキュートでなんだかクセになる。噛み合ってるのかどうか分からない二人の会話も、あまり夫婦っぽくはなくて、そこが新鮮で可愛かった。二人でサイクリングしたり和菓子やさんに行ったり、いいなぁ。好みは別れそうな作品だけど私は好き。2018/08/24
ともとも
20
個性的、且つ猫が好きな登場人物たちが 程よい速度で、幸せ一杯に一生懸命に生きている感じが いきいきと描かれていて、とても読みやすかったです。 また、猫が好きな人には悪い人はいない、猫が運んできた幸福? などと感じさせられながらも、猫の愛らしさ、 良い人に囲まれながらも、自分らしく二人の世界を構築する姿に ほのぼのとさせられてしまいました。 愛や幸せ、人と猫の素晴らしき部分が充分に詰まった物語で良かったです。 2015/04/28