内容説明
奄美大島の海岸に流れ着いた一枚のフロッピー。そこに記されていたのは奇怪な日記だった。ある大学のサークル一行が古文書を元に、人魚や朱雀、仙人が現れるという伝説の島“沙留覇島”へ渡った調査記録だった。だが、日記の最後に記されていたのは、殺人事件を告げるSOS―フロッピーを拾った写真家の猫田は警察へ届け、大規模な捜索が行われるが、それと思しき島には誰一人いない。猫田は幻の島探しに乗り出すが…絶海の孤島を舞台にした、驚天動地の本格+ネイチャーミステリ。
著者等紹介
鳥飼否宇[トリカイヒウ]
1960年生まれ。九州大学理学部卒。出版社勤務を経て、2001年『中空』にて第二十一回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞。現在、奄美大島にて生物観察の日々を送るかたわら、専門を生かしたネイチャーミステリを意欲的に執筆している
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感想・レビュー
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takaC
66
本当は昆虫探偵や妄想女刑事みたいなのが読みたいんだけど仕方なくで読んだ非在だがこれもまた一癖ありな小説だよね。2018/09/06
瑞佳
36
非在なるものに踊らされた男たちの悲劇。憐れとしか云いようのない不幸な結末。しかし壮絶だった。善良なる、すくなくともほんの2、3か月まえまでは善良であった人間が、ここまで狂ってしまえるものなのだろうか。人魚、朱雀、仙人、蓬莱の島。ここでいったい彼らに何が起こったと云うのか。不気味な作中作を交えたサスペンスフルな孤島ミステリでありました。2018/08/27
ヒロユキ
33
前半読みにくい部分はあったけど孤島を舞台にしていたり、手記を含んだ構成だったり、豊富な蘊蓄が語られていたりとミステリとしててんこ盛りな内容。探検活動などネイチャーな感じが売りなんだろうけど、それ込み全体の雰囲気が良さげでした。2012/06/14
しゅてふぁん
26
奄美大島の海岸に流れ着いた一枚のフロッピー。その中には、ある大学のサークル一行が人魚を求めて幻の島へ渡った調査記録や殺人事件を告げるSOSが記されていた- 人魚や仙人、不老不死伝説プラス、クローズドサークル。予想以上にサバイバルだった。絶海の孤島だもんね、仕方ないよね。面白かった!2017/04/29
カノコ
20
観察者シリーズ2作目。今回のモチーフは、仙人が住まうという蓬莱と人魚伝説。絶海の孤島というクローズドサークル。その事件の渦中に巻き込まれるのではなく、事件が終わったあとに遺留品から真実を突き止める。話はややこしい割に展開が早くて混乱するが、雰囲気たっぷりでわくわくする。すべてが明らかになったときの空恐ろしさも中々良い。そして、この象徴的なタイトル。センスあるなあ。非在、存在しないもの。仙人や人魚や蓬莱の島。そして、島に辿り着いたときには終わっていた惨劇。やっぱりこの作家さん、好みかも。2017/02/16