内容説明
『論語』は、日本人にもっとも愛されてきた中国の古典。2500年前に生きた孔子が残した言葉には、どんな時代にも共通する「人としての生きかた」の基本的な理念が凝縮されている。短くテンポのよい言葉のリズムと、音の響きを楽しみながら味わう、中国古典入門の一冊。
目次
第1部 孔子の生涯(孔丘少年;孔子の学校;不遇の時期;政治の乱れ;祖国の危機 ほか)
第2部 『論語』のことば(家族;友情;学問;教養人と知識人と;弟子とともに ほか)
著者等紹介
加地伸行[カジノブユキ]
1936年大阪生まれ。京都大学卒業。文学博士。大阪大学名誉教授。同志社大学専任フェロー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえぽん
48
中学生にも読める教育的配慮の行き届いた論語入門。前半で孔子の人生が理解でき、後半でテーマ別に論語の主要箇所の解説を読める。初読者にも人物孔子と儒教の主な考え方を把握可能。単なる知識人ではなく、道徳も身に付けた教養人たれとした点、道理を知るだけでなく、その境地に至ることを求めた点、まっすぐな人間を曲がった人間の上に据えよとした点、生活の安定や軍備よりも信頼を最重視した点など、時空を超えて傾聴すべき考え方。ただし、個人の権利を公共の利益より優先する現代では、元来利他的な人以外の耳には届きにくいかもしれない。2024/04/25
ころこ
46
この類の本は読んでみると難しいことが多いが、著者が「孫が中学生になったとき」という読者想定の通り、非常に読み易い。語り口が柔らかいことが印象に残るが、じつは前提とする知識をあえて披歴していないことが『論語』の内容に集中できる本書の最も特徴的なことではないだろうか。かなりのスピードで読むことができる。マンガと同じくらいの時間で読めるので、身体感覚が必要ない電子書籍(電子書籍は今どこを読んでいるのかが身体で感じられないのが欠点だ)で読むのにちょうど良いかも知れない。2022/11/05
北風
34
論語の中の500ほどの言葉ははっきりいって玉石混淆です。すばらしい言葉もあれば、弟子のエピソードのようなどうでもいい言葉もあります。この本は「玉」しか扱ってないのが気になるんです。この本を読んだ人が論語を読んだときに「えっ?」っとなる可能性が高いと思いますねえ。入門書なら「石」も紹介すべきじゃないかなあ…。と、思いました。2015/02/10
紫陽花と雨
33
中島敦の「弟子」で孔子に子路が諭されているのを読んで、興味を持った「論語」こんなに面白いと思わなかった。『中学生にもわかるように』をコンセプトに書かれているので、とても読みやすいです。孔子の人生の旅を追うように、論語の言葉も原文と読み下し文と訳・注や解説があって、漢文の読み方を忘れていても安心です。心に響く数々の言葉に、流して読むものでなく繰り返し読み込んで行きたい本だと思いました。いつか全訳版も読みたい。孔子の個性的な弟子達もカッコよかった!個人的に突っ走りがちなのに真面目な男、子路が推しです(笑)2018/12/06
まつこ
33
こういうのは一気に読んでは面白くない・・・というかたまに意識が飛んだ。漢文の授業のような内容でもある。学生の勉強には向いてるかも。それか、一つ一つの言葉を毎日意識して生活するような用い方をした方がいいように思う。日めくりカレンダー的な使い方? 改めて論語からは好きな言葉が多い。「己の欲せざるところ他人に施すことなかれ」「温故知新」等。人間の根っこの部分が論語には宿ってる。2013/04/09