出版社内容情報
池上 永一[イケガミ エイイチ]
著・文・その他
内容説明
ついに反政府ゲリラは政府に宣戦布告。國子はブーメランひとつで戦車部隊に立ち向かう。だが地上の森では政府とゲリラの戦争をあざ笑うかのように、想像を超えた進化が始まっていた。究極のエコロジー社会がもたらす脅威とは?國子たちは生き残れるのか?アトラス計画の真の目的とは?ゲリラ豪雨、石油価格の高騰、CO2の取引など、2004年に既に現在を予言し、SFを現代小説に転換した傑作長編。
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
1970年生まれ、沖縄県石垣市出身。94年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞する。98年には『風車祭(カジマヤー)』が直木賞候補になる。沖縄の伝承と現代が融合した豊かな物語世界が注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
237
壮大な天地開闢の物語。これは人間の物語でなく、神話であった。倒れても倒れても起き上がる人物たちを見ると、そう思わざるをえない。これは神々を描いた物だ。旧世界は消滅し新たな世界が開かれる。この壮大さを受け止めることが出来る人物はこれしかありえない。あきれるほどスケールのでかい叙事詩だった。アイデアの豊富さには舌を巻く。次から次へとあきれるほどだ。この展開を嫌う人は多いに違いないが、これを楽しめないのはもったいない。2019/09/09
Rin
63
割り切って読んでいくと、展開も早くスピード感もあり、上巻よりも読みやすく感じる。また苦手だと思っていた小夜子たちも人間味や愛情深い面が描かれ高感度が上がる下巻。バラバラだった物語が1つに繋がる部分は、少しだけ強引かなとも思ったが、アトラスというより日本にひとまず決着がついてよかった。植物の順応性の高さにちょっと怖さを覚えつつもミーコが元に戻ってくれたことへの安心感と、突然のミイラ登場、ゼウスの意思への驚きと、神話への突入に追いつけなくなりそうな一冊。アニメ化していたとのことなので、ちょっと気になります。2020/04/25
レモン
45
上巻の勢いは中盤で陰りを見せ始める。読書がこんなにキツかったのは久しぶり。私はファンタジーであっても芯の部分で一本筋が通っていないと納得できないので、何でもありの御都合主義バンザイは許容できない。何の説明もなくこの人間は不死身、この妖怪は死ぬと分けられても…。エログロも脈絡がなく度が過ぎる。Unlimitedで良かった。2023/06/01
翔亀
45
【沖縄27】(上巻の感想から続く)森林化した東京の反政府ゲリラの美少女首領やら、超高層都市に鎮座する美少女貴族やら、ネット上で世界経済を攪乱する天才美少女トレーダーやらが入り乱れ、森林や高層都市で超人的な肉体と超近代兵器とが対決するバトルが繰り広げられるハチャメチャな展開は、アニメ的と一蹴してはいけない。そこには野生VS科学、超自然VS人工知能、脱炭素経済VS新自由主義経済の、対立の構図が横たわっている。いや、これらは対立ではない。並立混沌なのだ。目指されているのは、野生に戻るのでも、超自然の復活でも、↓2021/11/22
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
34
極上のエンターテイメントだった。上巻に輪をかけてぶっ飛んでいた。それでいてファンタジー要素も大きく、軽やかに読み進められる。 「ハードボイルド・ライトノベル」と名付けたい。2018/07/06