出版社内容情報
圧倒的エンタテインメント巨編、ついに文庫化!21世紀半ば。熱帯化した東京には巨大積層都市・アトラスがそびえていた。さまざまなものを犠牲に進められるアトラスの建築に秘められた驚愕の謎とは??? まったく新しい東京の未来像を描き出した傑作長編!!
池上 永一[イケガミ エイイチ]
著・文・その他
内容説明
加速する地球温暖化を阻止するため、都市を超高層建造物アトラスへ移して地上を森林化する東京。しかし、そこに生まれたのは理想郷ではなかった!CO2を削減するために、世界は炭素経済へ移行。炭素を吸収削減することで利益を生み出すようになった。一方で、森林化により東京は難民が続出。政府に対する不満が噴き出していた。少年院から戻った反政府ゲリラの総統・北条國子は、格差社会の打破のために立ち上がった。
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
1970年生まれ、沖縄県石垣市出身。94年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞する。98年には『風車祭(カジマヤー)』が直木賞候補になる。沖縄の伝承と現代が融合した豊かな物語世界が注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
400
タイトルと表紙に惹かれて。長く積読状態にあったのを発掘。池上永一はこれまでに何作か読んできたし、ことに沖縄を舞台に描いたものは、その独特のマジカルな要素と文体に愛着も持ってきた。ところが、本書はまるで別人。これでは小説と呼ぶことも物語と呼ぶことも憚られるほど。アニメかRPGの台本といった趣き。リアリティは根底から放棄されている。のれが好きだという人がいるだろうとは思う。ただし、私の場合は孫子の代に雷にでも撃たれない限り、そうはならないだろう。魔が差して、悪い女(ニューハーフ?)に引っ掛かったようなものか。2019/08/10
absinthe
208
どういえばいいのだろう。登場人物も、舞台設定もそれぞれ凝った感じはするし、異彩を放ってはいるのだが。突飛さが悪目立ちして、どれも唐突で、底が浅いというか奇をてらっただけの印象が残る。二酸化炭素を固定することで都市の構造を上へ伸ばし始めた東京。周辺は強制的に森にされ、狂った生態系に支配されている。手投げのブーメランで戦車を叩き割るとか、その説明が単に鍛えたからだとか。冗談としか思えないのだが。2019/09/02
スズ
112
地球温暖化防止のため森林都市へと変貌した東京。富裕層は安全な空中都市アトラスで暮らし、貧困層は熱帯雨林と化した地上で集中豪雨と疫病に怯えて暮らしていた。反政府ゲリラ≪メタル・エイジ≫の総統である18歳の少女・北条國子は、一方的な森林化を推し進める政府軍と戦いながら、アトラスの制圧を目指すが…。本拠地である自治都市ドゥオモで暮らす二十万人の家族を守るため、炭素材製の巨大ブーメランを自在に操って政府軍と戦ったり、疫病の抑制化のために高濃度の酸素と狂った生態系に支配された死の森を調査する國子の姿が頼もしかった。2017/01/23
射手座の天使あきちゃん
104
近未来の東京は、CO2排出による地球温暖化に対し地上を強制的に森林化し、選ばれし人々はバベルの塔さながらの高層都市アトラスに生存の場を移した・・・ と、ここまでは結構リアルなんですけどね ここに登場するのが牛車にのる十二単の少女とニューハーフさんに育てられたスーパー女子高生、って完全にラノベですよねぇ(笑) でもこの設定、結構ツボ 下巻行きま~す!! (^_^)v2012/06/22
いーたん
81
面白かった。だけど、楽しくはなかった。上下巻構成の上巻。近未来の話。地球温暖化により、東京は熱帯化し、地上は温暖化対策により森林化された。人々は持つ者は巨大構造物アトラスに、持たざる者は、地上に継ぎ接ぎのドォウモに暮らしていた。登場人物たちは、みな魅力的であり、惹きつけるものがありました。炭素経済は難しいです。伏線や謎の部分も上巻なので多々あり、気になって仕方ないです。ただ、話としては暗い印象。読んでいて気持ちが重くなりましたが、まだ半分。下巻を読み終えて、どのような読後感を抱くのか楽しみです。2015/02/04