出版社内容情報
思春期の悩みを抱える10代。社会に出てはじめての挫折を味わう20代。仕事や家族の悩みも複雑になってくる30代。そして、生きる苦みを味わう40代――。人生折々の機微を描いた短編小説集。
内容説明
あなたに似た人が、ここにいる―。幼なじみの少女が自殺未遂、戸惑いながら「死」と向き合う高校1年生の少年。結婚7年目、セッカチな夫に最近うんざりしてきた妻。子供がいないとつい言えなくて、一芝居うつ羽目に陥った夫婦。どちらかがリストラされる岐路に立たされた40歳の同期社員。晩年を迎えた父に、複雑な思いを抱く43歳の息子…。ひたむきな人生を、暖かなまなざしでとらえた11の物語。文庫オリジナル短編集。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞を受賞。話題作を次々に刊行する傍ら、ルポルタージュやインタビュー、週刊誌記事のリライトなども手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
183
雑誌掲載短編11話。拝啓ノストラダムス様、正義感モバイル、電光セッカチ、砲丸ママ、遅霜おりた朝、石の女、メグちゃん危機一髪、へなちょこ立志伝、望郷波止場、ひとしずく、みぞれ。現代の、思い詰めた人々と、冷めた人々。うまく混合して描写し均衡を図る。家族、学園、日常生活。あとがきに、世間話との言葉。1999 年から2006年までのサンデー毎日(6)、小説現代(2)、別冊文藝春秋(2)、野生時代(1)。雑誌、年代がばらついている。題材、方向性の鋭さに違いがあるかも。発見角川。2013/10/15
佐々陽太朗(K.Tsubota)
165
普通の人が抱える問題、普通の人の哀しみ、苦しみ、悩みを描いた11の短編。11の物語の中には自分に置き換えて胸に迫る話もあるし、そうでなくともありそうな話として登場人物の気持ちを汲み取って「わかるなー」と感情移入することも多いだろう。そして重松氏の小説の常として、読み終えた後に何かしらの救いがあるのだ。それは重松氏が登場人物に注ぐ温かいまなざし故のことだろう。おそらく重松氏は人(たとえそれが欠点の多い普通の人であっても)の心の底にある善意を信じているから、あるいは信じようと決意しているからだと思う。2015/10/02
ひろちゃん
137
岡山県出身の作家さん。「流星ワゴン」もそうですが、人生をテーマにしたちょっと重たい作風の人というイメージ。だけど、20代の私にも共感できる部分はありました。この作品は短編集。私が特に好きだったのはみぞれ。幼い時強かった父が脳梗塞により、どんどん弱っていく姿に戸惑う男の人の話。朝から学校の前に涙を流してしまいました。身体的、精神的にも強かった父の弱い部分を垣間見ると思ったら戸惑うし、可哀想だなと思う。後悔もする。最後にはしゃべれない父がしゃべるシーンに泣いてしまった。2015/12/09
やっちゃん
135
iモードなど20年前の当時は流行ってたものが懐かしくてたまらない。今読むと図らずもそれが重松清の中年の哀愁漂う文体にマッチしてなんとも素晴らしい読書となった。どの話も短編ながら重厚でおじさんは泣きそうになってしまった。2022/11/27
青葉麒麟
132
文字が大きくて読み易いのが良かった。たまに重松作品を読むと心が洗われて綺麗になるような気がする。個人的には「石の女」が好き。不妊の女性をうまずめと呼ぶなんてどれだけ虚仮にすんだって思う。結婚は子供が全てじゃないと思うんだけどなぁ。2014/10/13