内容説明
無類の不思議話好きの山岡百介は、殺しても殺しても生き返るという極悪人の噂を聞く。その男は、斬首される度に蘇り、今、三度目のお仕置きを受けたというのだ。ふとした好奇心から、男の生首が晒されている刑場へ出かけた百介は、山猫廻しのおぎんと出会う。おぎんは、生首を見つめ、「まだ生きるつもりかえ」とつぶやくのだが…。狐者異、野鉄砲、飛縁魔―闇にびっしり蔓延る愚かで哀しい人間の悪業は、奴らの妖怪からくりで裁くほかない―。小悪党・御行の又市一味の仕掛けがますます冴え渡る、奇想と哀切のあやかし絵巻、第二弾。
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
小説家、意匠家。1963年北海道生まれ。1994年、かねてよりアイデアを温めていた妖怪小説『姑獲鳥の夏』で鮮烈な小説家デビュー。『魍魎の匣』で第四十九回日本推理作家協会賞、『嗤う伊右衛門』で第二十五回泉鏡花文学賞、『覘き小平次』で第十六回山本周五郎賞、『後巷説百物語』で第百三十回直木賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
84
6編の短編からなっていますが、それぞれの怪異譚が繋がっているように感じました。闇に込められた愚かで哀しい人間の悪魔が見えます。蔓延する妖怪の怪異は人間の疎かな部分から発生されるのではないでしょうか。人間の悪行は妖らが招いている気がしてなりません。又市一味が妖怪の世界により足を踏み入れた今作、奇想と哀切が満ち溢れていたと思います。 2019/04/24
えみ
73
目にも鮮やか狂言芝居!小悪党が悪党を退治するちょっと歪な勧善懲悪。綺麗な身とは言い難い小悪党が何故か下手なお人好しより善人に思えてくる奇抜で絡繰りだらけの巷説百物語続編。人に棲みついた魑魅魍魎には人と異なる妖にしか対峙できない。だったら彼らに任せよう!小股潜りの又市、事触れの治平、山猫廻しのおぎん、算盤の徳次郎、御燈の小右衛門。相変わらずのその活躍に期待と不安と好奇心が止まらない。怪談奇談集めをしている山岡百介があちら側とこちら側の境界で目撃する狂気狂乱の悪行の正体とは?人が生む闇より恐ろしいものはない。2021/08/22
naoっぴ
68
妖怪、物の怪、祟りの謂れ、題材はいずれもおどろおどろしいが、内容は人情ありの勧善懲悪物語。りん。とひとたび鈴音が響けば又市のからくりが動き出す。短編集かと思いのんびり読んでいたら、五話目ですべての話が繋がり、ひとつの藩をめぐる壮大なお家騒動の醜聞の実態が見えてきた。妖しの怪異の裏には、又市やおぎんらが仕込んだ合理的論理的な仕掛けの数々。ほんとうは全て生者のなすこと。けれどそれを神秘の怪異のベールで包んで昇華させる手際の良さ、そしてこの怪しの世界観がたまらなく魅力的。面白かった! 2021/03/15
眠る山猫屋
62
再読。巷説で旅がちだった百介が江戸に帰ってきていた時期の物語から、後半は四国そして北林藩へ。それぞれの過去へ触れる物語が語られる。百介の兄や東雲右近、田所といった好感の持てる人物が増える一方、闇に染まった悪魔のような影が次第に姿を現す。様々な因縁が『死神』に向けて結実し、決して百介たちとは相容れない敵が姿をみせる構成。妖怪の仕業に仕立てた仕掛けは神業だが、そこまでに組まれた伏線は流石。京極さんにしか出来ないんじゃないだろうか。そして別れが切ない。そういや、何故か数話、テレビで観た記憶が。また観たいな。2018/03/19
Yuna Ioki☆
61
899-102-20 百物語シリーズ第二弾。どこかもの悲しさが漂う京極夏彦独特の世界観はやみつきになる楽しさ。そして、チーム又市の終焉は少し残念。2015/03/15